人手不足はなぜ起こる?5つの業界別に原因を探る!今後の見通しと対策法も紹介!

※この記事は2019年8月に更新しています。
人手不足問題が深刻化し、日々の業務の中でこの問題に直面している方が多いのではないでしょうか?
日系企業の現状、そして今後の動向を調べていくと、正社員の人手不足が深刻な業界は下記の5つだと言われていることがわかりました。
②農・林・水産
③運輸・倉庫
④メンテナンス・警備・検査
⑤建設
このデータは2019年4月、帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によるもので、「人手不足に対する企業の見解」を調査したデータになります。
年度別に数値をまとめていくと、下記の表のようになります。
上位5種全ての業界で前年度よりも「不足」と感じている割合が増加していることがわかります。
また、全業界を通しての「人手不足に対する見解」についても、データが発表されており、従業員が不足していると感じている割合は50.3%にものぼるとされています。
人手不足であるという実感を持っている企業が多いことをおわかり頂けたのではないでしょうか?
日本の企業の半数以上が人手不足であるという認識を持っており、今後改善が行われなければ企業経営に大きな影響を与えることに繋がります。
本記事では、人手不足が著しい業界それぞれの現状を詳しく述べるだけでなく、人手不足が起こる原因、そして解決策についてお伝えしていきますので、人手不足に悩みを抱えている方はぜひ参考にしてみてください。
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人手不足が深刻な業界
先ほどご紹介したデータ表に出ていた5つの業界について詳細に述べていきたいと思います。
現在このランキングに自分の属する業界が載っていなくとも、共通項があれば同じような事態になる可能性がありますので、きちんとリサーチしておくことが大切です。
参考事例として、各業界における、解決策を提示しておきますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
1.業界別|人手不足の原因「情報サービス業界」
情報サービス業界の平成28年度情報サービス業の売上高を見ると、16兆7,289億円(前年度比▲3.1%減)となっており、前年が過去最高の水準であった影響などから減少となったようです。
しかし、データベースなどをクラウド経由で配信するクラウドコンピューティングサービスや、動画などのウェブコンテンツ配信の展開、そして5Gの台頭も手助けとなり、IT化がさらに加速していくことが予想されますので、今後も伸びていく業界の1つと言えます。
また、情報サービス業に従事している人の数をみていくと、常時従業者数は47万9,690人(前年度比▼5.2%減)で、正社員・正職員、パートタイム従業者など全ての従業者が減少しています。
これらの事実から、業界自体は伸びているのにも関わらず、従業員の数が減少している現状があることがわかります。
情報サービス業界での人手不足が深刻化している大きな要因として、業界自体の市場拡大している一方で、「専門的な知識や技術を持ったエンジニアがいない」ということが挙げられます。
徐々にエンジニア職につく人の数は年々増えてきていますが、それでもやはり、需要を満たすだけの人材を確保できていません。
原因は、エンジニアの労働待遇が悪く、給料も安いということが挙げられ、エンジニアを目指す人の数が確保できないということだと考えられています。
もし、心当たりのある方は、自社でのエンジニア労働待遇を見直すところから始めて見るのも良いかもしれません。
■参照データ
平成28年情報通信業基本調査(経済産業省)
■参考事例
【エンジニアの給料をあげる】
給料が低いなどの労働待遇が悪いことで人手不足が起こっていると先述いたしました。
実際に労働待遇を改善し、優秀なエンジニアを確保しようと動いている企業もすでに出てきています。
DeNAやサイバーエージェント、GREEなどのITメガベンチャーと言われる企業は、新卒から1000万円近い給料を提示するようになってきました。
人手不足を解消したいのであれば、こういった戦略も必要かと思われますので、ぜひ、自社での検討をおすすめします。
【海外から人材を獲得する】
日本にいる外国人労働者を採用する、ということではなく、海外から優秀な人材をヘッドハンティングするということです。
海外の優秀な人材は、労働生産性が高く、とても質の高い業務を期待できますし、外資系の成果主義の中で戦ってきた人材を入れることで、組織のモチベーションを高めることも可能です。
ただ、海外人材の獲得は長期間を使ってノウハウを溜めなければならないので、早期の対策をおすすめいたします。
【従業員の教育をする】
従業員1人1人のスキルを高めて、スキルレベルの高い人材を育成することも人手不足の解消に大きく貢献します。
自社でスキルを高めるための研修や制度を設けるようにしましょう。
具体的には、マイクロソフト技術者認定(MPC)・電気通信主任技術者・簿記検定・行政書士・秘書技能検定・知的財産管理技能検定といった資格取得のバックアップなどが考えられます。
また、コーディングなどを教える機会を提供することも有効です。
社内制度としての育成がきちんと整えることで、従業員がスキルアップして人手不足を防ぐこともできますし、成長できる環境があるということが転職者を募集するアピールポイントになるはずです。
2.業界別|人手不足の原因「農・林・水」
厚生労働省所管の独立行政法人である、労働政策研究・研修機構の調査によると、第1次産業の就業者は1951年の時点では1,661万人だったのに対し、2018年の時点では228万人であるということがわかりました。
テクノロジーが発達した今日では、以前までのように多くの人手を必要としていないのかもしれませんが、第1次産業に従事する人が急速に減少したため、人手を欲している状況が続いています。
その背景として挙げられるのが、5K(きつい、汚い、かっこ悪い、稼げない、結婚できない)や世襲制をとっていることが原因で起こる後継者不足が著しいことがあげられます。
脱サラをして、農業を始める方もいらっしゃいますが、初期費用が高く、ノウハウを必要とするため、開始するハードルが高くて断念するという方が非常に多くいらっしゃいます。
■参照データ
https://www.agri-navi.com/useful/17/504
■参考事例
【第6次産業化する】
「第6次産業」とは、第1次産業、第2次産業、第3次産業を全て掛け合わせた概念です。
具体的には、「農林水産業に従事する人たちがとってきた資源(第1次産業)を加工(第2次産業)し、流通販売していく過程(第3次産業)を組み合わせる」ということになります。
それぞれの産業の強みを活かしながら企業活動を行うことができるので、利益に対してより効果的な働きかけができますし、より多くの人と繋がって仕事ができるので人手不足の解消にも貢献してきます。
▼第6次産業について(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html
3.業界別|人手不足の原因「運輸・倉庫業界」
約25兆円を占める1大産業であり、従事者は全産業就業者数の約4%を占めていると言われています。
運輸・倉庫業界で人手不足が叫ばれる背景には、人手に大きな変化はないですが、Amazonや楽天などが台頭したことによる電子商取引(EC)市場の成長が挙げられます。
EC市場は2018年の時点では16.5兆円規模であり、中でも物販系分野は8.6兆円を占めており、この影響を受けて宅配便の取扱件数は5年間で毎年2億個ペースで増加しています。
今後もこの市場は拡大すると想定され、ますます人材確保が追い付かない状況になるでしょう。
物流市場の人手不足は、「再配達問題」「未配達問題」と、社会的にも多くの影響を与えています。
また、個人の労働者という立場から見ても、「明らかな長時間労働」がとても大きな問題となっています。
拡大し続ける物流市場に対して、人手不足の解消が急務であるということは明白です。
■参照データ
2017年2月「物流を取り巻く現状について」(国土交通省)
■参考事例
セイノーホールディングス株式会社 取締役早川 典雄氏は、「生産人口減少にどのように対応していくかが重要」と述べ、生産人口減少への複数の対応例を述べています。
【情報技術の積極導入】
人手を割かずに機械に任せられる業務は積極的にツール等を導入することで、本当に人が対応すべきコア業務に人員を充てることが可能となります。
【女性の雇用】
社内で女性の管理職への雇用が進んでいない会社も少なくありません。今まで女性が少ない業界、企業においては女性活用(積極的な採用)も1つの対応策となります。
【外国人労働者の受け入れ】
制度が整っていない等を理由に、外国人労働者の採用が進んでいない企業は人手不足解消のためにまずは制度を構築し、採用を進めるようにしましょう。
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ロジティクス改善コラム「ロジの素」
運輸・倉庫業界の人手不足対処法|IT化と女性が活躍できる環境作りが必要不可欠
4.業界別|人手不足の原因「メンテナンス・警備・検査」
この項目は3つに細分化できるので、それぞれ解説したいと思います。
●メンテナンス:ビル(9割)
●警備:交通整理など
●検査:商品の検品や、自動車の検査など
業界動向を調査できる「業界動向リサーチ」によると、これらの業界はそれぞれ上昇傾向にあります。
ビル業界の市場規模は9,038億円、警備業界の市場規模は1兆3,684億円と、非常に大きな市場であり、今後の成長も見込まれています。
これらの業界が人手不足を起こしている原因として、「肉体労働がきつい」「待遇が悪い」「世間のイメージが悪い」ということが挙げられます。
また、東京オリンピックで需要が拡大するので、さらに人手不足が加速すると考えられます。
◾︎参考データ
https://gyokai-search.com/3-bill.html
https://gyokai-search.com/3-keibi.html
5.業界別|人手不足の原因「建設業界」
建設業就業者数については、1997年の685万人がピークとなっており、2016年はピーク時の約28%減の492万人だと言われています。
また、年齢別に見ると3割が55歳以上となっており、きつい肉体労働であるのにも関わらず、高齢化の就業者が多く働いているのです。
若年層の就業者が少ないことの背景として、3K(きつい・汚い・危険)の印象が強い、賃金が低く、長時間労働であるということが挙げられます。
建設業に対するイメージが悪く、労働形態が多くの人にとって好ましくないのが原因と言えます。
これからオリンピックが開催され、建設業の需要もどんどん増えていきます。今後も人手不足の進行は進み、より深刻になっていくと想定されるので、早めに手を打っておくことが求められます。
◼︎参考事例
清水建設株式会社は、業界の人手不足を解消するために求人情報サイト『匠を目指す人集まれ!』を2017年5月にリリースしました。ポイントは以下です。
【若い世代への業界に対する興味喚起】
これから社会人になる若年層に対し、業界への興味喚起を行うことで、それが企業への興味と繋がり、最終的に応募へと繋がります。
先述した人手不足の原因の1つに「業界の不人気」があるとしたら、まずは業界について知ってもらい、悪いイメージを払拭する仕掛けをするのが有効かもしれません。
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★建設会社の人手不足解消事例!鳥生工務店の人手不足解消法って?
人手不足が起こる原因
人手不足が起こる原因には以下の3つが挙げられます。
①少子高齢化による労働人口の減少
②採用コストが高い
③優秀な人材確保の難しさ
この章ではこの3つについて解説していきます。
人手不足の原因①少子高齢化による労働人口の減少
日本では少子高齢化が続いており、2030年には31.1%、つまり約3人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されています。
「体力がある働き盛りの年代が少なくなっていく」という現実があり、労働人口が急速に減少していくということが言え、人手不足に拍車がかかってしまっているのです。
人手不足の原因②採用コストが高い
人を募集する採用活動はコストがかかります。2018年のマイナビ調査によると、入社1人当たりの採用コスト平均は約53.4万円となっており、大きな支出と言えるのではないでしょうか。
人手不足を解消するために、従業員の数を増やすことは根本的な解決になりますが、人件費がかかりますし、採用活動自体にもコストがかかります。
最悪の場合、せっかく採用活動をしても人の獲得に至らない場合もあります。
こういったことから、採用活動になかなかコストをかけられないという企業もあるようです。
人手不足の原因③優秀な人材の確保の難しさ
生産性の高い優秀な人材が多ければ多いほど、こなしてくれる業務量が多くなるので、たくさんの人手を必要としなくなります。
こういったことからどこの企業も優秀な人材を確保したいのは明白です。
今どこの業界でも人手不足で売り手市場です。特に優秀な人材は多くの企業から引っ張りだこで、なかなか獲得が難しい状態です。
人手不足解消のためにも優秀な人材をぜひ迎え入れたいですが、実際には厳しいようです。
人手不足を解決する方法
このような深刻化する人手不足に対応するためには、どのようにしたら良いのでしょうか?
こちらの記事では4つの対策方法をご紹介しています。
人手不足を解決する方法|業務効率化できるツールを使う①
人手不足を解消するために、外部のリソースを利用して業務量を減らす、アウトソーシングが注目を浴びています。
このアウトソーシングの1つとしてオンラインアシスタントサービスがあります。オンラインアシスタントとは、インターネットを活用し、在宅や遠隔地から業務サポートを行うサービスのことです。
秘書業務やバックオフィス業務、SNS運用など、経験者が社内にいない業務やリサーチやレポート集計など、手順が決まっていて必ずしも社員がやらなくてもいいような業務をオンラインアシスタントに担ってもらうことで、自社の業務量を削減できるというメリットがあります。
こういったサービスでは人材を厳選して提供しているため、すでにいる従業員の仕事量を増やすことなく安心して外注することができるので、ぜひ1度導入の検討をおすすめいたします。
参考記事:
オンラインアシスタントとは?メリットデメリットや派遣との違い
成功例:コストを3分の1に削減!自分自身の生産性も向上 株式会社notteco
人手不足を解決する方法|業務効率化できるツールを使う②
先ほどは、業務効率化できるツールとして、オンラインアシスタントをご紹介しました。次にご紹介するツールはAIです。
リストの作成などの単純作業は、AIの得意分野なのでぜひ取り入れて活用していきたいのもです。営業先のリストの作成、アプローチを例にご紹介していきます。
営業リスト作成とアプローチする際の手順は以下のようになります。
①アタックしたい企業を選ぶと自動で情報の収集とリスト作り ②自動でメール送付またはお問い合わせフォーム投稿でアプローチ ③アポイントメント取得後、アプローチ結果をスコア化 |
このような1連の作業をAIが代わりに自動で行ってくれるので、人間がやるべき業務を大幅に減らすことになり、結果的に人手不足解消に繋がります。
また、人間がやるよりもスピーディーにこなしてくれるので、業務自体がスムーズになり、労働生産性も上がるのです。
関連記事:
新規アポを確実にとる自動営業アプローチとは
人手不足を解決する方法|SNS・オウンドメディアを運用する
人材を確保するためには自社の魅力や業務をアピールする必要があります。そこで近年注目を集めているのが、SNSとオウンドメディアの運用です。
TwitterやFacebookなどのSNSでは、検索で興味がある人にアピールできるだけでなく多くの人の目に触れる場所で自社の情報を発信することができます。
一方のオウンドメディアは、実際に働いている人へのインタビューやイベントレポートなど、魅力ある情報を伝えられます。
株式会社メルカリが運営するメルカン(メルカリグループに所属するメンバーなら誰でも情報発信できるプラットフォーム)では、採用者の約9割がこのメルカンの記事を読んだことがあるそうで、オウンドメディアの重要性が伺えます。
SNS・オウンドメディアの活用で就職希望者を集めることができるので、人手不足解消のためにぜひ取り入れて頂きたいです。
人手不足を解決する方法|社員のスキルアップをはかる
人手不足が深刻化する中で、社員1人1人のスキルを高めることが大切だということは、先述した通りです。
社内研修や勉強会の開催、OJT(On-the-Job Training)を積極的に取り入れることをおすすめいたします。
社内研修や勉強会では、業務を遂行していく上ですぐに使える知識や技術を社員に提供することができるので、教科書で学ぶよりも実践的な知識を身につけてもらうことができます。
OJT(On-the-Job Training)は、実際の職場や現場で上司や人材育成専任のトレーナーが、実務経験を通して社員に指導を行う直接的な教育方法なので、とても効率的というメリットがあります。
即効性の高い学びであり、社員のスキルをより確実に高めることができます。
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【中小企業の働き方改革】業務効率化で残業時間を削減する方法とは?
まとめ
本記事では、人手不足が深刻化している業界を5つ、人手不足の原因、解決策についてご紹介しました。
今や人手不足は多くの業界で悩みのタネとなっております。
本記事でご紹介した成功事例・解決策を参考に是非、自社での人手不足を解消してください。
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社員の生産性・満足度を爆上げした業務改善の成功事例
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サイトには出ていない社員の生産性・満足度を爆上げした業務改善の成功事例を公開します。

HELP YOU導入により
・月150時間の業務が3時間半に
・人材コスト削減と利益率の向上
・社員満足度が上がり、離職率が低下
といった成果が出ています。
人手不足が叫ばれる中、人材も所有から共有への動きが見られます。
自社採用がドンドン難しくなってきている時代の、新しい人材確保の手段として、オンラインアシスタントを一度検討してみてはいかがでしょうか?