外注とは?委託、請負、派遣の違い!外注費の注意点や成功事例
人手不足や業務の多忙によって悩んでいる企業も多いことでしょう。そんな時に頼りになるのが「外注」です。
外注とは、自社の業務を外部に委託することです。外注を活用することで、効率的な業務運営や業務の柔軟な対応が可能となります。
しかし、外注には請負契約や派遣契約などの種類があり、契約形態や労働条件に違いがあるため、法律遵守の点からも注意が必要です。
この記事では、外注の種類とそれぞれの違い、メリットとデメリット、外注費の注意点などについて詳しく解説します。
外注を上手に活用して、業務効率化や企業の成長につなげましょう。
外注とは
外注とは、社内の業務を社外に発注することを言います。
たとえば、ITサポートや経理業務など、必要な業務の一部や全部を外部の専門業者に依頼して対応してもらうことを意味します。「アウトソーシング」とも呼ばれます。
製造業における部品の加工や組立作業の外注から、給与計算などの経理業務、システム開発や翻訳などの専門性が求められる業務も外注対象となります。
たとえば、経理業務に関しては、外注を活用することで、月次決算や年次決算などの繁忙期の人員調整が容易になります。また、税務申告や給与計算などの業務を外注すれば、経理部門の負担を大幅に軽減できるうえに、精度の高い業務が実現できます。
マーケティング業務に関しては、リサーチやデザイン制作などを外注することで、自社にはない専門的な知識やノウハウを取り入れられるため、効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
外注は、さまざまな業種や業務において活用でき、業務の効率化や品質の向上、そしてコアビジネスへの集中を可能とします。
ただし、外注には法的ルールの遵守や情報管理やセキュリティ対策、外注先との連携など注意すべき点もあります。
外注の種類や派遣と請負の違いなどに触れながら、順を追って解説していきます。
外注の種類
一般的に、外注の種類は「派遣」と「請負(業務委託)」の2つに分類されます。
派遣と請負では、法律上の区分が異なり、労働者の安全衛生対策や労働時間の管理などに関して、雇用主、派遣先、注文主が負うべき責任が異なります。
そのため、企業が外注する際には、派遣か請負かを明確にし、それぞれの法的ルールに基づいた労働者管理や業務の遂行をする必要があります。
派遣
派遣(労働者派遣)は、企業が人材派遣会社を通じて、外部の労働者を一定期間、自社の業務に従事させる形態です。派遣労働者と雇用関係にあるのは、企業ではなく派遣元事業主(=人材派遣会社)で、給与や社会保険などは派遣元事業主が支払います。
請負(業務委託)
請負は「業務委託」と表現されることもあります。「業務委託」という言葉は、実務上ではよく使われますが、法的な文脈では用いられない表現であることは留意しておきましょう。
請負は、企業が外部の業者に一定の業務を委託し、その業務に対する成果物や納品物を受け取る形態です。派遣労働のケースとは異なり、企業(=注文主)と労働者との間に指揮命令関係は生じません。
請負を利用する際には、必ず「請負契約」を締結する必要があり、以下に挙げるような種類が存在します。
請負契約
請負契約は、委託元(企業)が特定の業務を委託先に依頼し、その業務の成果物を納品するという契約です。つまり、請負契約は、仕事の完成をもって報酬が発生することになります。
請負契約は、民法に基づいた契約形態で、委託元と委託先との間で締結されます。
「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」
引用:民法 第六百三十二条
委任契約
委任契約は、委託元(企業)が業務を行うために必要な一部の業務を委託先に任せるという契約です。これにより委託先は、委託元に代わって業務を行うことができます。つまり、委任契約は、仕事を行うことが契約履行となります。
委任契約は、民法に基づく契約形態であり、委託元と委託先との間で締結されます。
「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」
引用:第六百四十三条
企業が委任契約をする際の「法律行為」には、以下のような業務が含まれます。
契約締結業務
人事・労務管理業務
税務・会計業務
広告・マーケティング業務
設計・開発業務 など
これらの業務は、企業が自ら行うことも可能ですが、委任契約によって専門的なノウハウやスキルを持つ専門業者などに委託することで、効率的かつ質の高い業務を行うことができます。
準委任契約
準委任契約も、委任契約と同じく委託元(企業)が業務を委託先に任せるものですが、「法律行為でない事務」という条件がつきます。
準委任契約も民法に基づく契約形態で、委託元と委託先との間で締結されます。
「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する」
引用:第六百五十六条
「法律行為でない事務」とは、一定の条件を満たすか、法的効果を生じない事務を指します。たとえば、書類のコピーを取ったり、データ入力を行ったりする業務などが該当します。
このような事務作業については、「委任契約」の要件を満たさないため、準委任契約の形態で委託します。
外注のメリット
続いて、企業が業務を外注することのメリットを見ていきましょう。
固定費など経費削減になる
外注をすることで、人件費や設備投資などの固定費が削減できます。従業員を雇用する場合、従業員の社会保険料や福利厚生費、研修費用などの負担がかかりますが、外注すればそれらの負担を軽減することができます。
また、従業員の採用・教育にかかる時間やコストも不要になります。
なお、外注費のほうが雇用契約の場合(=給与)より、消費税の納付税額が少ない場合があります。というのも、外注費は原則として「仕入れた財や役務」に対する代価として支払われる費用であり、仕入税額控除の対象となるからです。
具体的には、外部委託による製造、加工、設計、開発、販売促進、広告宣伝、業務代行などの業務に関して支払われる報酬や費用が該当します。
ただし、一部の特定の外注費については、仕入税額控除の対象外となる場合があります。詳しくは、税務や労務についての専門家に相談することをおすすめします。
※外注費か給与かの線引きに関しては、一般的には「請負契約」であれば外注費となり、「雇用契約」であれば給与となりますが、詳しくは後ほど「外注費とは認められないケースがある」にて解説します。
事務負担の削減になる
外注の場合、従業員を雇用する場合に必要な社会保険や年末調整などの手間がかからないため、それに伴う事務処理の負担が軽減されます。
従業員を雇用する場合には、社会保険や年末調整の手続きが必要であり、それに伴う書類の作成や各種手続きが必要になりますが、外注の場合はそういった手続きが不要です。
また、従業員を雇用する際に必要となる求人募集や選考、採用手続きなどの手間も省くことができます。
マネージメントの軽減になる
外注によって、業務管理の負担を軽減することができます。企業が自社で業務を行う場合、従業員への教育や業務の監督管理など、マネージメントにリソースを費やす必要があります。
しかし、外注によって業務を委託することで、外部業者に業務の遂行を任せられるため、マネージメントの負担を軽減することができます。
プロのノウハウを活用できる
専門スキルを持つ経験豊富な外注業者に依頼することによって、プロのノウハウを活用することができます。その業務に特化した専門的な知識や経験を利用することができるため、仕事の質が上がるうえに、スピーディーな仕事回しも期待できます。
コア業務に集中できる
非コア業務や補助業務を外部に委託することで、従業員は本来注力すべき大事な業務に集中できる環境が手に入ります。
これにより、企業としての競争力を高めることが期待できます。
外注のデメリット
外注のデメリットとともに、その対応策についても見ていきましょう。
情報漏洩のリスクがある
依頼する業務内容によっては、社内データを外注先に渡すことになるため、セキュリティリスクが高まります。特に、取り扱いが慎重でなければならない個人情報や企業秘密などを扱う場合には、リスクが高まります。
業者がどのようなセキュリティ対策をしているかは事前にしっかりと確認し、契約書などでの秘密保持条項の設定をする。そして、自社サイドでも情報管理を徹底することが重要です。
自社にノウハウが溜まらない
業務を外部に委託することで、自社での業務経験やノウハウが蓄積されないというデメリットがあります。結果、社員のスキルを伸ばす機会が減り、社員が育たない可能性も考えられます。
そのため、外注先の選定は慎重に行い、外注先とはこまめにコミュニケーションをとることをおすすめします。情報や状況を都度共有したり、マニュアルや手順書の作成を依頼するのもいいでしょう。
また、業務の全てを丸投げするのではなく、自社でも一定の業務を遂行することで、自社のノウハウを蓄積していくことが重要です。
外注費と認められないケースがある
外注に支払う費用は原則として、消費税の仕入税額控除の対象となります。
ただし、税務署から外注費を「給与」として認定されると、消費税の仕入税額控除は適用外となり、源泉所得税が追徴されます。
以下6点の内、一つでも合致した場合は給与とみなされるので注意が必要です。
出典:国税庁「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)」
1.請負契約を結んでいない
一つ目のケースは、外注業者と請負契約を結んでいない場合です。
請負契約を結ばず、業務内容や報酬を口頭で取り決めている場合、外注先が従業員の代わりに作業を行っているとみなされることがあります。この場合は、外注費が給与として認定され、消費税の仕入税額控除が適用されない可能性があります。
2.他の人が業務を行うことができない
2つ目のケースは、外注先の特定の人物に依存する業務の場合です。
つまり、特定の人物にしかできない業務を依頼し、その業務を行うために必要な技能やノウハウを持つ人物が外注先にいるというケースです。
このような場合、外注先は依頼主(企業)と同等の立場で業務を行うことになります。つまり、外注先が依頼主に雇用された従業員のような役割を果たすことから、依頼主が支払う報酬が給与として認定される可能性があるのです。
・特定のプログラム開発を行わせる場合
・医師などの専門家による診断やコンサルティングなど、特定の専門知識が必要とされる業務
3.作業時間の指定、時間的な拘束がある
3つ目は、時間的な拘束がある場合です。外注先に対して、作業を行う期間や時間帯・スケジュールなど、社員と同様に細かい指定があり、時間的な拘束がある場合は、給与と見なされる可能性があります。
つまり、その外注費は実質的に社員の給与に相当することになるため、消費税の仕入税額控除が適用されない可能性があります。
4.作業の進行や方法を指定している
4つ目は、企業が外注業者に指揮命令している場合です。外注先に対して、業務の進め方や手順、方法を具体的に指示する場合、外注先が従業員の代わりに作業を行っているとみなされ、外注費が給与として認定される可能性があります。
5.成果物の納品に対して対価していない
5つ目は、成果物に対して対価が支払われない場合です。
雇用契約の場合、給与は労務の提供自体に支払われるのに対し、請負契約では、外注費は仕事の完成(=成果物)に対して支払われます。
そのため、成果物に対する対価が支払われない場合、その業務は請負契約に基づく役務の提供とはみなされず、労働者としての報酬を支払っているとみなされる可能性があります。
ただし、これは業務の具体的な内容や契約の形態によって異なるため、事実関係をよく確認する必要があります。
6.材料や用具を支払者が提供している
最後6つ目は、事務用品やPCなどを支払者(企業)が提供し、外注先がそれを使用する場合です。
この場合、外注先が単に労働力を提供しているだけではなく、一定の物品を提供する契約関係にあると認められることがあります。そうなると、外注費は給与として認定され、消費税の仕入税額控除が適用されない可能性があります。
外注先が材料や用具を自前で用意する場合は、外注費が給与として認定される可能性は低くなります。
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外注の成功事例1.外注で業務の負担が半分に減少
SNSを通じたコミュニケーション支援を行うマーケティングコンサルタント会社の業務外注事例をご紹介します。
契約数が増えるにつれ、運用代行の依頼も増加。サービスの質を保つために社内のリソースをどう確保するかが課題でした。
・SNSの投稿文やクリエイティブの最終チェック、数値レポートの作成業務
・不定期に発生する抽選キャンペーンの実施に付随する作業など
HELP YOUへの外注後、SNS運用代行に関する業務の負担が半分ほどに減少。
以前は人手不足で日々の業務や数値レポートの作成が遅延するケースもありました。しかし、業務を外注してからは自社のコア業務が滞らなくなりました。
また、リソース不足でこれまで叶えられなかったクライアントの要望に対応したり、新規プロジェクトに関われるようになりました。結果、社員のモチベーションアップにもつながったと言います。
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外注の成功事例2.知見がない業務も外注におまかせ
ラトビアの風土から生まれた石けんを取り扱うバスアイテム専門店が、HELP YOUに業務を外注した事例をご紹介します。
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HELP YOUに依頼することで、自社スタッフだけでは担いきれない業務を補えるようになりました。
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外注のまとめ
外注は、業務効率化やコスト削減、高品質な業務遂行など実績のある手段であり、企業が人手不足を解消するための有効な選択肢の一つです。ただし、法的ルールの遵守や情報管理、セキュリティ対策や人材育成の面については注意が必要です。
こうした注意点を考慮しつつ、外注を活用することで、企業は自社の業務に集中でき、ビジネスの競争力を高めることができます。また、外注業者と信頼関係を築くことで、より効果的な業務の委託が可能となります。
適切な外注先の選定と運用により、企業の成長や発展に貢献させていきましょう。
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オンラインアウトソーシングはHELP YOU
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