SNSマーケティングとは?5つの手法と成功事例、始め方を分かりやすく解説!
SNSは今や私たちの日常生活に深く根付き、情報収集から自己表現、友達作りまで、多くの人々がさまざまな目的で利用しています。
このような状況下で、企業が商品やサービスの認知度を高め、売上を向上させるためには、SNSマーケティングが不可欠となっています。
しかし、
「SNSマーケティングとは何か?」
「どのSNSを利用すべき?」
「どのようにSNSを活用すれば効果的なのか?」
といった疑問を抱えている企業担当者も少なくありません。
この記事では、そんな疑問や課題を解消するために、SNSマーケティングの特徴やメリット・デメリットを解説すると共に、効果的な5つの手法と成功事例を紹介します。
さらに、具体的なSNSマーケティングの始め方もステップバイステップで解説します。
これらの情報を活用し、SNSマーケティングでの成功を目指しましょう!
SNSマーケティングとは
まずは、SNSマーケティングの基本的な概念と、代表的なSNS(X、Instagram、Facebook、YouTube、TikTok、LINE)の特徴について詳しく解説します。
SNSマーケティングの特徴
SNSマーケティングとは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて行うデジタルマーケティングのことです。
企業がSNSの自社アカウントなどを介して商品・サービスについて発信し、利用者と直接交流するため、企業・商品の認知拡大や好感度の向上が期待できます。
SNSマーケティングには3つの特徴があります。
- 一連のマーケティングを低コストで行える:すでにある無料SNSを使用するため、初期費用を抑えられます。
- 顧客情報を獲得できる:自社アカウントを運用すれば、収集したデータ(フォロワーの年代や興味関心など)を活用し、商品やサービスに反映できます。
- 消費者との距離感が近い:公式アカウントで消費者であるユーザーとやりとりしたり、ユーザーの生の声(口コミ)を集めて商品やサービスに活かすこともできます。直接交流することでユーザーに企業やブランドに対する親近感を持ってもらうことができるため、ファンの育成も可能です。
さらに、SNSマーケティングには主に5つの手法があります。
- アカウント運用
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
- SNS広告
これらの手法を活用することで、SNSマーケティングの有効性が高まります。
※各手法の詳細は後述します。
各SNSの特徴
SNSによってユーザー層や利用者数、機能などの特徴は異なります。SNSマーケティングを成功させるために、ここで各SNSの特徴を理解しましょう。
SNS名 | 日本国内月間アクティブユーザー数 (MAU) |
ユーザー層 | 特徴 |
X(旧Twitter) | 4,500万 | 幅広い年代が利用しており、特に10代・20代の若年層の利用が多い | ・1投稿140文字以内(無料ユーザーの場合) ・匿名性が高い ・拡散力があり、リアルタイムで更新される |
3,300万 | 女性の利用率が高い | ・ビジュアル重視の投稿 ・ECサイトとの相性が良い ・ハッシュタグ検索がある |
|
2,600万 | 若年層より30代・40代の利用率が高い | ・実名登録制 ・実際の人間関係のつながりが反映されやすい ・ビジネスで活用される ・投稿フォーマットが豊富 |
|
YouTube | 7,120万 | 若い世代の利用率は高いが、アクティブユーザー数は30代~50代が高い | ・視覚的なコンテンツが中心 ・学び系の動画が多い |
TikTok | 2,600万 | 10代の利用率が圧倒的に高い | ・縦型短尺動画プラットフォーム ・動画編集機能が豊富 ・レコメンド機能で、さまざまな動画を発見できる |
LINE | 9,600万人 | 全世代で利用率が高い | ・生活のインフラになっている ・スタンプによるコミュニケーション ・プッシュ通知機能 |
X(エックス、旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字までの文章のほか、画像や動画を投稿できるSNSです。幅広い年齢層が利用していますが、特に10代と20代の若年層の利用率が高いのが特徴です。
短文投稿が主流で、他のSNSと比較すると拡散力が高く、情報が短時間で広まりやすいため、投稿が「バズる」可能性があります。
その反面、情報が広まりすぎて炎上するリスクもあります。投稿だけで全ての情報を伝えることは難しいため、オウンドメディアやnoteへのリンクを貼って誘導し、詳しい情報へと遷移させる手法もよく見られます。
Instagram(インスタグラム)
Instagramは写真や動画をメインに投稿できるSNSで、特に女性の利用率が高い点が特徴です。
写真や動画など、ビジュアル重視のコンテンツが中心なため、ファッション、美容、料理などの視覚的に魅力的な情報を共有するのに適しています。
ビジュアルでの訴求力が高い一方で、Xなどと比べて拡散性は低いとされています。ただし、Facebookなど他のSNSとアカウントを連携することで拡散性を高められるため、他のSNSと連携がしやすいSNSです。
なお、Instagramのユーザーは、ハッシュタグ機能を活用することでトレンドや商品を探す傾向があります。そのため、投稿にどのようなハッシュタグを付けるかが重要なポイントです。
また、投稿に商品タグを付けることが可能なため、ECサイトとの親和性が高いとされています。
Facebook(フェイスブック)
Facebookは世界最大の実名登録制SNSです。ユーザー層は若年層より30代・40代の利用率が高い傾向にあります。リアルな人間関係のつながりが反映されやすい実名制が特徴で、ビジネスパーソンの利用率が高いです。
他のSNSと比べてフォーマルなイメージがあり、ビジネスシーンでよく使われています。
さらに、Facebookの広告出稿機能は非常に高度な設定ができ、ユーザーの年齢、地域、興味、行動など、細かいターゲティングが可能です。
YouTube(ユーチューブ)
YouTubeは、Google社が運営する世界最大の動画共有サービスです。ユーザーの年代は幅広く、10代から30代では90%を超える利用率を示しています。
YouTubeの動画コンテンツは、音楽チャンネルやゲーム実況、スポーツ、子ども向け番組など、ジャンルが非常に豊富です。また、パソコンやスマートフォンだけでなく、インターネットに接続できるテレビ(スマートテレビ)での視聴も可能です。
これらの特性から、動画の最適化や広告出稿、インフルエンサーとの協業など、多様なマーケティング施策を実行できます。
TikTok(ティックトック)
TikTokは、15秒〜1分ほどの縦型短尺動画がメインコンテンツのSNSです。投稿される動画のジャンルは豊富で、エンタメ系から知識・ノウハウ系の動画まで多岐にわたります。
メインユーザー層は若年層(主に10代)ですが、近年では全世代に利用者が広がっています。
TikTokのおすすめ欄には、フォローしていないクリエイターの動画も表示されるため、新規ユーザーにリーチしやすく、拡散性が高いとされています。また、ユーザー参加型のキャンペーンも盛んに行われており、ユーザーのエンゲージメント(関係性や愛着)を高める効果があります。
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LINE(ライン)
LINEは、他のSNSと比べて最もアクティブユーザー数が多く、全世代に使用されているアプリです。
その特徴は、クローズドなコミュニケーションとプッシュ通知機能にあり、主に個別メッセージでのやりとりが主流です。個別メッセージという特性から新規顧客獲得が難しいという一面を持ちつつも、一度友だちになったユーザーへのメッセージ既読率は非常に高いという利点があります。
また、企業や店舗向けには「LINE for Business」も提供されています。このサービスはビジネスに特化した機能を持ち、企業は自社製品やサービスを効果的にプロモートすることが可能です。
このような各SNSの特徴をつかみ、親和性の高い投稿やクリエイティブを作成することで、マーケティングの効果を高めることができるでしょう。
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参考:
総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」
SNSマーケティングが重要視される理由
今日、SNSは人々の生活に深く浸透し、消費者の購買行動にも大きな影響を与えています。これらの動向から、SNSマーケティングの重要性を考察してみましょう。
SNSの普及
日本のソーシャルメディア利用者数の推移及び予測
日本のソーシャルメディア利用者数の推移及び予測
引用:総務省「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」
SNSの利用者数は、日本だけでなく世界的にも増加の一途をたどっています。日本のSNS利用者数は2022年の1億200万人から、2027年には1億1,300万人に増加すると予測されています。
この増加は、SNSが単なるコミュニケーションツールとしてだけでなく、ビジネスの場としても活用されていることが一因と考えられます。
特に、新型コロナウイルスの影響でECの需要が拡大したことにより、SNSとECを掛け合わせたビジネスモデルが注目されています。
この動向は、企業にとって大きなチャンスを示しています。SNSの普及により、企業は幅広いユーザーに対して商品やサービスを紹介することが可能になりました。
従来のマーケティング手法では到達困難だったユーザー層にもアプローチできる大きなチャンスをもたらしたのです。
消費者の購買行動の変化
出典:PRTIMES「今、話題の”SNSがもたらす消費者の購買行動への影響”をインフルエンサーマーケティング企業toridoriが徹底調査!消費者×SNSの気になる3つの実態とは?」を参考に作成
SNSの普及に伴い、消費者の購買行動にも大きな変化が見られます。株式会社トリドリの調査によれば、消費者の8割近くが「商品・サービスの購入時にSNSの影響を受けている」と回答しています。
これは、SNSが消費者の購買行動に大きな影響を与えていることを示しています。消費者はSNSを通じて商品やサービスの情報を得るだけでなく、他のユーザーのレビューや評価を参考にすることもあります。
また、ブランドや企業側がSNSを通じて消費者と直接やり取りすることで、購買意欲を刺激されることもあるでしょう。
このように、SNSは現代のマーケティング戦略において不可欠な要素であり、企業にとってSNSマーケティングの重要性は一層増しています。適切なSNSマーケティング戦略を立てることで、消費者の購買行動を効果的に誘導し、売上向上を実現することが可能です。
SNSマーケティングのメリット
次に、SNSマーケティングのメリットを解説していきます。
商品やサービスの認知拡大
最初のメリットは、商品やサービスの認知度を拡大できることです。
SNSは情報の伝達が早く拡散力が高いため、スピーディーに情報を伝えられます。
自社の投稿に興味を持ったユーザーが、リツイートやいいねといった機能を使い投稿をシェアすることで、直接投稿を見たユーザー以外の目にも情報が届きやすくなるのです。
まだ商品やサービスを知らないユーザーへアプローチでき、認知拡大が見込めることはSNSマーケティングの大きなメリットです。
ただし、拡散力が高い点は、炎上リスクにつながる可能性もあるため注意が必要です。
※炎上リスクの詳細は、「SNSマーケティングのデメリット」にてくわしく解説します。
ブランディング効果
二つ目のメリットは、ブランディング効果があることです。
例えば他社と差別化したアカウント運用や、独自のクリエイティブを投稿することで、企業や商品価値を高められるでしょう。
特にInstagramのようなビジュアルメインのSNSは視覚効果が高く、他のSNSよりもブランドイメージが浸透しやすい傾向があります。ブランドの世界観が競合他社より魅力的だと感じてもらえれば、商品を購入する際に選んでもらえる確率がアップします。
このようにSNSマーケティングには、商品や企業のブランディングを醸成する効果もあるのです。
顧客ロイヤリティの向上
三つ目のメリットは、顧客ロイヤリティの向上です。顧客ロイヤリティとは、ブランドやサービス・商品に対してユーザーが信頼感を持っている、贔屓にしている状態を指します。
SNSを通じて消費者と直接やりとりし、交流を深めていきます。するとユーザー側に企業への共感が生まれ、商品やサービスに対する愛着を持ってくれるようになるでしょう。
愛着からファンが生まれ、さらにサービスに満足してもらえば、ファンからリピーターが増えます。
リピーターによる継続的な売上アップが見込めると、LTV※の向上も期待できます。
ユーザーとの距離が縮まりやすいSNSの特性を活かし、顧客との長期的なつながりを作っていきましょう。
※LTV…Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で「顧客生涯価値」のこと。顧客が自社と取引してから終わりまでにどれだけの価値をもたらすかを表す数値
SNSマーケティングのデメリット
SNSマーケティングにはデメリットや注意点も存在しますので、くわしく解説します。
炎上のリスクがある
まず、SNSマーケティングには炎上のリスクがあります。
SNSの伝達スピードの速さや拡散性の高さは炎上につながりやすく、一度炎上すると企業イメージや信頼が大きく傷つく可能性もあります。
炎上してしまう例を挙げましょう。
- 自社サービスや商品の不具合
- 信頼性を欠く発信(競合他社の批判など)
- SNSの広告施策の不備(キャンペーン企画に参加したユーザーへ特典が届かなかったなど)
炎上を防ぐには、しっかりしたネットリテラシーや運用体制が求められます。
例えば、以下のような対策をすることで、炎上リスクを低く抑えられます。
- 発信基準を定める(例:政治、宗教などの話題は避ける)
- 複数人で運営する
- SNS運営以外のスタッフが投稿をチェックする
とはいえ、どれだけ対策しても炎上を完全に防ぐことは難しいため、炎上した際の対応策やフローを考えておくこともおすすめします。そうすれば、実際に起こったときに慌てずに対応できるでしょう。
スキルや運用の手間が必要
二つ目のデメリットは、スキルや運用の手間が必要という点です。
SNSマーケティングには、以下のようにさまざまなスキルが求められます。
- 流行・トレンドの理解
- 効果測定技術
- SNS戦略
- コミュニケーション力
- プロジェクト管理 など
また、コンテンツ作成などにも膨大な時間がかかります。ターゲットやテーマ、ハッシュタグの設定、画像・テキスト作成など、手間のかかる工程を経なければコンテンツは作れません。
自社のみで対応しきれない場合は、SNS運用のノウハウを持ったアウトソーシングサービスへの外注を検討してみましょう。
作業負担の軽減はもちろん、第三者の視点や意見が入ることにより炎上の防止にもつながります。
SNSマーケティングにおける5つの手法
SNSマーケティングには、主に5つの手法があります。以下で各手法の概要とメリットを解説します。
アカウント運用
一つ目の手法はアカウント運用です。アカウント運用とは、企業やサービスの情報発信のためにSNSアカウントを取得し、運用することです。
アカウント運用には次の作業が含まれます。
- 投稿コンテンツの作成
- コメント対応
- アクセス・エンゲージメントの分析
企業アカウントを運用するメリットは、ユーザーと距離の近いコミュニケーションが行える点です。直接やりとりすることでユーザーに親近感を与えることができ、ファンの育成に役立ちます。
また企業独自のアカウント運営やクリエイティブの発信によって、認知拡大やブランディングも期待できる手法です。
SNSキャンペーン
二つ目の手法は、SNSキャンペーンです。
SNSキャンペーンとは、SNS上でユーザー参加型のキャンペーンを実施して集客する方法です。
キャンペーン例として、
- 投稿をリツイート&アカウントのフォローでプレゼントが当たる
- 指定ハッシュタグを付けて投稿するとプレゼントが当たる
などがあります。
SNSキャンペーンのメリットは、SNSアカウントのフォロワー数を増やせること。そして、自社サービスや商品のUGCが増えることです。
UGCとは「ユーザー生成コンテンツ」を指し、商品・サービスを使ったユーザーの口コミのことです。UGCは自社が作ったクリエイティブに比べて作り込みが少なく、リアルな声として他のユーザーに響きやすいという特徴があります。
SNSキャンペーンで獲得したUGCを発信することで、自社への信頼度が高まり良いイメージを持ってもらえます。SNSキャンペーンを効果的に使い、フォロワー獲得と自社へのロイヤリティを高めていきましょう。
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インフルエンサーマーケティング
三つ目の手法はインフルエンサーマーケティングです。インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つ人気のインフルエンサー(インスタグラマーやユーチューバーなど)に、自社の商品やサービスを紹介してもらうマーケティング手法です。
これには以下のような運用方法があります。
・インフルエンサーに自社のサービスや商品を利用してもらい、その体験談をアカウントで投稿してもらう
・店舗やイベントの現地レポートをインフルエンサーに依頼する
・インフルエンサーと商品の共同制作を行う
・ライブ配信でインフルエンサーに商品を紹介してもらう など
インフルエンサーマーケティングのメリットは、企業の投稿や広告よりもユーザーに受け入れられやすい点です。インフルエンサーは消費者目線で商品を解説してくれるため、企業から直接発信するよりも商品・サービスの良さがユーザーに伝わりやすいのです。
また、商品・サービスのターゲットユーザー層に影響力を持つインフルエンサーを活用することで、ユーザーの商品への興味や愛着が高まり、インフルエンサーのフォロワーやファンによる情報の拡散も期待できます。
ただし、インフルエンサーマーケティングには注意が必要です。特に、ステルスマーケティング(ステマ)規制については理解しておくことが重要です。
ステマとは、広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する行為を指します。これは消費者の信頼を損なうだけでなく、景品表示法違反などの法的な問題を引き起こす可能性もあります。
このように、SNSマーケティングには法規制への理解と適切な知識が求められます。
適切な知識やノウハウがない場合は、SNSマーケティングのプロに外注するのも一つの手です。これにより、トラブルを避けつつ、より効果的なSNSマーケティングの実施が可能となります。
ソーシャルリスニング
四つ目の手法は、ソーシャルリスニングです。
ソーシャルリスニングはSNSで発信されているユーザーの投稿を収集し、分析する手法です。
ソーシャルリスニングで分析できるデータは次のとおりです。
- 自社サイトやサービスにどんなイメージを持っているか
- 自社サイトやサービスにどんな価値を感じるのか
- 商品・サービスをどんな場面で使用しているか など
消費者が求めていることやポジティブ・ネガティブな意見を収集することで、自社の強みやユーザーにとってのベネフィットを把握できます。
ポジティブな部分を強調してプロモーションを実施する、もしくはネガティブな部分を改善してサービスや商品のブラッシュアップを図ることも可能です。
さらに、自社商品の関連カテゴリに対するユーザーの声を収集すれば、業界のトレンドや動向をチェックできます。
ソーシャルリスニングを行うことで、サービスの潜在的なニーズや動向の把握、ネガティブなイメージの拡散を防げるでしょう。
SNS広告
最後の手法は、各SNSの広告枠に出稿・宣伝するSNS広告です。
SNS広告のメリットは以下のとおりです。
- 地域・年齢・性別・趣味・関心などから細かいターゲティングができる
- コストパフォーマンスが高い
※クリックやインプレッションが発生したときなど、ユーザーがアクションしたときのみ料金が発生。予算も少額から利用できる。 - 広告のフォーマットが多彩で、自社に適したものを選べる
SNS広告は細かくターゲット設定し、次のアクションを促す性質があるため効率的な運用が可能です。
各手法の特徴をつかみ、目的に合わせて適切なものを選びましょう。
手法別にみるSNSマーケティングの成功事例
ここからは、手法別にSNSマーケティングの成功事例を紹介していきます。自社でのSNS活用方法の参考にお役立てください。
アカウント運用の成功事例
アカウント運用は、ビール販売の大手メーカー・キリンビールの成功事例です。キリンビールはFacebook、X(旧Twitter)、Instagramなどを運用しています。
以前はXのトレンドやモーメントに合わせた投稿を意識し、どれだけバズったか(拡散したか)という視点でマーケティングの成果をチェックしていました。
しかし、現在は「つづく関係づくり」という視点にシフトチェンジ。商品の特長がより伝わる、商品を使った暮らしがイメージできるようなコンテンツ投稿に力を入れています。
Instagramでは、あえて手作り感の強いクリエイティブを作成。ビールに合う食事レシピを紹介するなど、ユーザーが商品を身近に感じられるリアルな情報を提供しています。
この丁寧な気遣いを感じられる投稿がユーザーに響き、広告想起は日用消費財業界の平均より1.7倍高い結果に。さらにブランドの好意度は平均の5.2倍も高くなりました。
そのほか、キリンビールはアカウント運営において次の点に気を付けています。
- 直感的においしそうと感じさせる動画作成(※Instagram)
- ブランドカラーやパッケージがクリエイティブ開始から2~3秒で伝わるようにする
- コメント内容を確認し、自社の伝えたいメッセージがユーザーに伝わっているかをチェック
大手メーカーであるキリンビールはあえて手作り感の強いクリエイティブを投稿し、ファンを獲得。丁寧なコンテンツの作り込みとアカウント運用で成功しました。
参考:
株式会社ナノベーション「キリンビール『本麒麟』Instagramをフル活用でブランド好意度の上昇率が5.2倍に。成功キャンペーンの裏側を公開」
KIRIN「『これ、いいよ!』と誰かに薦めたくなる情報を届けたい。キリンビール公式SNSのこれからの発信」
SNSキャンペーンの成功事例
SNSキャンペーンの成功事例として、アメリカ発祥のドーナツチェーン・ミスタードーナツを紹介します。
ミスタードーナツは創業50周年キャンペーンをXで展開しました。その内容は、ミスタードーナツとの思い出を投稿してもらう「ミスドの思いド」というもの。
同ブランドのX運用はもともと商品告知が中心でしたが、50周年という節目を迎え、ブランド自体についての声を集めることを企画。応募者には、該当投稿を有名俳優に読んでもらえる賞やミスタードーナツカードのプレゼントを用意しました。
また、ユーザーの投稿ハードルを下げることに注力し、カンバセーションボタン(動画や画像に選択肢ボタンを付けられるクリエイティブ)を活用。募集ツイートに付いている「#ミスドの思いド」ボタンを押せば、すぐ投稿できるように設定しました。
この結果、目標投稿数1万件に対して最終応募総数は1万4,367件を達成し、大きな反響を呼びました。家族との思い出や食べ方の提案などバラエティに富んだ内容が集まりました。
さらに、キャンペーンと同時に発売した新作「さつまいもド」の売上も好調で、「ミスドの思いド」キャンペーンが実店舗への訪問や商品購入のきっかけにもなったようです。
参考:X Corp.「思い出を通じて、温かみのあるブランドに。ミスタードーナツ、周年キャンペーンでTwitterを活用」
インフルエンサーマーケティングの成功事例
インフルエンサーマーケティングについては、大手ビールメーカー・サッポロビールの事例を取り上げます。
同メーカーは定番商品・黒ラベルのリニューアルをきっかけに、新規顧客の獲得を目的としたキャンペーンを実施。まず複数のインフルエンサーを起用し、Instagram上に黒ラベルの投稿をアップしてもらいました。
次に、それらの投稿を広告やLPページ(広告や検索経由でユーザーが最初に訪問するページ)に二次利用し、広告を見たユーザーが「#大人に乾杯」とハッシュタグを付けてInstagramに投稿できる仕組みを作ったのです。
このキャンペーンによって、LPページのユーザー滞在時間が通常の約2倍に。さらに、インフルエンサーの投稿したクリエイティブの質が高かったため、それに影響された一般ユーザーの投稿レベルも向上。また、質の高い投稿を目にしたユーザーによる、黒ラベルのブランドイメージの向上も見込めました。
サッポロビールはインフルエンサーマーケティングにおいて、以下のポイントを押さえています。
- インフルエンサーが投稿する前に、内容をチェックする
- 普段の投稿と、商品・サービスがマッチしているインフルエンサーを起用する
- インフルエンサーのブランド理解と共感を得る
- 投稿や広告配信のタイミングは夕方以降を狙う(アルコール商品のため)
特に商品・サービスとマッチしたインフルエンサーを起用することにより、通常1〜2%のエンゲージメント率が6%まで高まっているとのことでした。
参考:
株式会社 日経BP「サッポロ インフルエンサーマーケで従来と違う見込み顧客獲得へ」
DAS株式会社「ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション~サッポロビール・ライオンの事例で学ぶ~」
ソーシャルリスニングの成功事例
ソーシャルリスニングについては飲料・食品メーカー、カゴメの事例を紹介します。
カゴメは2013年に野菜ジュース市場が低迷しているなか、「野菜ジュースは糖分が多いのでは」とSNSで話題になっていたことに着目。
実際にジュースの糖分が多いかどうかを話題にしている口コミの数や、どんな人が口コミをしているのかを把握するためにソーシャルリスニングを実施しました。
まずはネガティブな口コミを改善する目的で、正しい野菜ジュースについての情報発信や、医師・栄養士といった専門家による啓蒙活動を実施。ソーシャルリスニングで口コミを分析し、今では正しい野菜ジュースの価値を伝えるファンの増加を感じています。
また口コミ件数と売上の相関性に着目し、口コミが投稿されやすいキャンペーンやプロモーションを企画。話題になっている口コミ内容を店頭のPOPに反映させたり、プレゼン資料へ組み込んだりし、売上向上を目指しています。
参考:株式会社トライバルメディアハウス「市場動向の把握から商品開発、採用活動まで。カゴメが目指すクチコミ活用とは?」
SNS広告の成功事例
最後に、SNS広告の成功事例として、食品大手メーカー・味の素の例を紹介します。
味の素はテレビCMに重きを置いており、SNSはXでイベント告知を行っている程度でした。
そこから若年層へのリーチ強化を目的とし、冷凍餃子商品のX広告運用を開始。具体的には次の施策を行いました。
- 冷凍餃子のテレビCMがリニューアルすることをXで発信
- テレビCM放映前にXのトレンド欄へ動画広告を出稿
- CMとは別バージョンのWeb動画をXで配信
- テレビCM放映後に、同じCMを20〜30代の主婦層をターゲットに出稿。接触頻度を増やす
これらの取り組みが功を奏し、SOV※は通常の約2倍に。購入に関しても前期と比較し、出荷量が増加しました。
さらに調査を進めると、冷凍餃子を1年ほど購入していなかった新規層からの購入が増えていることも判明。食品業界はテレビCMの予算が大きいものの、SNSのキャンペーンを行えば大きな効果が得られることが分かりました。
SOV…Share of Voiceの略。特定の商品やブランドの宣伝量が、同じカテゴリの商品やブランドの宣伝量のなかでどれくらい占めているかを示す割合。
参考:X Corp.「20〜30代へのリーチで購買にも好影響!味の素冷凍食品に学ぶ、Twitter広告での話題化」
SNSマーケティングの始め方
ここからは、SNSマーケティングの始め方を4つのステップに分けて解説します。
ステップ1.目的・ターゲットを明確にする
SNSマーケティングを行う際の最初のステップは、その目的とターゲット(ペルソナ)を明確にすることです。どのような目的か、どんなターゲットかによって、最適なSNSや手法が変わるため、非常に重要なステップとなります。
目的は具体的かつ明確にしましょう。例えば、以下のような目的が考えられます。
- ブランドの認知度向上
- 新製品やサービスのプロモーション
- 顧客とのエンゲージメントの強化
- Webサイトへのアクセス数の増加
- 顧客ロイヤリティの向上
- 売上の増加 など
ターゲット(ペルソナ)とは、マーケティング活動を通じてリーチしたい特定のユーザーを指します。ターゲットを設定する際には、以下のような要素を考慮すると良いでしょう。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 趣味・関心
- 地理的な位置 など
ステップ2.最適なSNSと手法を選ぶ
次のステップは、自社の商材やターゲットに適したSNSと手法を選定することです。ターゲットがどのSNSを利用しているのかを把握し、それぞれのSNSの特徴を考慮に入れて、最適な媒体やマーケティング手法を選びましょう。
まず、自社の商材やターゲットに適したSNSプラットフォームを選びます。例えば、若年層をターゲットにする場合はInstagramやTikTokが適しています。一方、ビジネス向けの商品やサービスを提供しているケースでは、FacebookやXが適しているでしょう。
次に、目的によって手法を選びます。例えば、新製品やサービスのプロモーションには、「SNS広告」や「インフルエンサーマーケティング」が有効です。
SNS広告では、新製品やサービスの広告をターゲットユーザーに効果的に配信できます。インフルエンサーマーケティングでは、影響力のある人物に新製品やサービスを紹介してもらうことで、その信頼性と認知度を高めます。
目的に応じて最適な手法を選ぶことで、より効果的なSNSマーケティングを行うことができます。
ステップ3.KPIを設定する
SNSマーケティングで成果を出すためには、KPIの設定が重要です。KPIは、マーケティング活動が目標に対してどれだけ効果的であるかを測定するための指標です。
以下に、SNSマーケティングのKPIの例をいくつか挙げてみます。
- 〇ヶ月以内にフォロワー〇人獲得
- 投稿ごとの平均いいね数を〇以上にする
- 投稿のリーチ数を〇以上にする
- Webサイトへのアクセス数を〇%増加させる など
ただし、SNS運用を行っただけで満足してはいけません。例えば、フォロワー1万人を獲得しても、それが売上に繋がっていなければ意味がありません。
目先の数字だけでなく、その先の成果(例えばWebサイトへの訪問者数や購入者数など)まできちんと追うことが大切です。
投稿内容やマーケティング戦略など、何をどのように行うか計画を立て(Plan)、それに基づいて行動(Do)。ユーザーの反応をデータ分析し(Check)、必要に応じて改善を行う(Act)。このPDCAサイクルを繰り返すことで、効果的なSNSマーケティングを実現することができます。
ステップ4.運用体制を作る
SNSマーケティングの成功には、適切な運用体制の構築が不可欠です。特に、アカウント運用は定期的・継続的な更新が求められるため、運用担当者のリソースの確保が必要となります。
リソースが不足しているからといって、他の業務の片手間でSNSマーケティングを行うと、更新が滞ったり、チェック体制の不備からミスや炎上に繋がる可能性があります。
自社に十分なリソースやSNSマーケティングのノウハウがない場合は、専門業者に外注することも一つの選択肢です。プロの視点を取り入れることで、より効果的な運用が可能となり、炎上のリスクも低減できます。
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SNSマーケティングのまとめ
SNSマーケティングは、企業が商品やサービスの認知度を高め、売上を向上させるための重要な戦略です。しかし、その成功を実現するためには、戦略のポイントを押さえ、適切な運用体制を確立することが必要です。
特に、SNSの運用には定期的かつ継続的な更新が求められ、専門的な知識やスキルが必要となります。そのため、自社にリソースやノウハウが不足している場合は、マーケティングのプロに外注することも一つの有効な選択肢となります。
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