人材派遣の費用相場や内訳、仕組みについて徹底解説!

派遣費用は、「派遣料金=派遣スタッフの賃金+マージン(諸経費)」という仕組みで構成されています。

派遣料金の内訳やマージン率、初期費用や継続費用を正しく理解することで、想定より高額になることを防ぎ、適切な派遣会社選びやコスト管理が可能になります。

本記事では、以下のポイントを中心に解説します。

  • 人材派遣費用の基本構造
  • 派遣料金の内訳とマージン率
  • 職種・業種別の派遣費用相場
  • 費用を抑える工夫
監修者:曽和利光(そわ としみつ)

人事コンサルタント、株式会社 人材研究所 代表取締役社長

 

人材派遣費用の内訳

派遣 費用1
まずは人材派遣会社を利用し、スタッフを派遣してもらう際に発生する「費用」に関して詳しく見ていきましょう。
派遣社員を派遣してもらう際には、初期費用(イニシャルコスト)継続費用(ランニングコスト)がかかります。

初期費用(イニシャルコスト)

人材派遣会社を利用する場合の初期費用は、派遣社員が使うパソコンや携帯電話など業務に必要な物品の費用のみです。

対して直接雇用は、求人活動費や教育・プロモーション費用などさまざまな費用がかかります。そのため一般的に、直接雇用に比べ人材派遣会社の利用は、かなり初期費用を低く抑えられます。

継続費用(ランニングコスト)

継続費用は「派遣費用」や「派遣料金」とも呼ばれ、以下のような費用が含まれます。

  • 基本賃金    :時給や月給など、ひと月に支払う給料
  • 残業代    :深夜手当や時間外手当など基本賃金にプラスして支払う給料
  • 社会保険料  :厚生年金、労災保険、健康保険、雇用保険 など
  • 有給休暇費用 :有給休暇中の賃金
  • 福利厚生費  :交通費、健康診断費、慶弔見舞金 など
  • 派遣会社諸経費:派遣社員の教育研修費用、派遣会社運営費、募集費用など派遣会社がサービスを行う上で必要な費用

これらは、派遣会社から請求される金額にすべて含まれています。

派遣費用の内訳

では、これら継続費用(派遣料金)の項目別の割合はどうなっているのでしょうか。
一般社団法人「日本人材派遣協会」が調査によって割り出した図が以下です。

派遣 費用2

引用:一般社団法人 日本人材派遣協会「賃金・社会保障」

調べによると、派遣料金の約7割が、派遣社員の賃金。加えて、派遣会社が負担する各種の社会保険料や有給休暇費用など、派遣社員に関する費用が8割超を占めています。
実は、派遣会社の営業利益は、これら全てを差し引いた残りの1.2%程度しか残っていません。

経済産業庁の「令和3年中小企業実態基本調査」によると、令和2年度(2020年度)の中小企業の営業利益率の平均は3.25%。人材派遣会社の1.2%という数字は、決して高いとは言えないことがわかります。人材派遣会社が派遣社員の利益を搾取しているわけではない点は理解しておきましょう。

人材派遣費用の構造:企業が支払う金額とマージン率

派遣 費用3
人材派遣の費用は、派遣スタッフの賃金・社会保険料・派遣会社のマージンによって構成されます。特に「マージン率」は、派遣料金の仕組みを理解するうえで欠かせない指標です。

このパートでは、以下の流れで 派遣費用の仕組みを段階的に整理します。

  • マージン率とは何か・どう計算されるか(仕組みの基本)
  • 首都圏における派遣会社の平均的なマージン率(最新の相場感)
  • 企業が支払う費用の内訳(賃金・保険料・その他コスト)

「何にどれだけお金がかかっているのか」を明確にすることで、相場との比較・派遣会社の選定・コスト妥当性の判断がしやすくなります。

派遣料金の仕組み:マージン率について

人材派遣会社における「マージン」とは、派遣料金から派遣賃金を除いた「サービス料や諸経費」のことを言います。
つまりマージン部分には、前章で紹介した派遣賃金(約7割)以外の派遣スタッフの社会保険料や有給休暇費用、福利厚生費用、そして派遣会社の諸経費が含まれます。

派遣会社の「マージン率」とは、派遣料金に対する派遣スタッフに支払う賃金の差額の割合のことで、つまりは、人材派遣会社の取り分の割合のことを言います。
マージン率は、以下の計算式で算出されます。
マージン率=(派遣料金の平均額ー派遣賃金の平均額)÷派遣料金の平均額×100
派遣 費用 データ

派遣会社各社のマージン率(首都圏)

マージン率は各派遣会社が独自に定めているため、各社のマージン率は異なります。
以下は、株式会社ニットが調べた首都圏の主要派遣会社のマージン率をグラフ化したものです。

2022年9月 株式会社ニット調べ

マージン率の相場は一般的には25%〜35%程と言われていますが、職種によっても異なり、IT系など人材確保が難しい職種ほどより高いマージンが設定されている傾向にあります。

【以下各社参考資料】
株式会社パソナ:労働者派遣法第23条第5項及び同法規則第18条の2第3項に基づく情報提供
リクルートスタッフィング:労働者派遣事業に係わる情報提供
スタッフサービス:~労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関すうる法律第23条第5項に基づく情報公開~
アデコ株式会社:労働者派遣実績等公開情報
パーソルテンプスタッフ:パーソルテンプスタッフの派遣事業状況

人材派遣会社に支払う金額の内訳

実際のところ、派遣先企業は、派遣スタッフが働いた分の給料のみを支払っているわけではなく、マージンも含めた料金を派遣会社に納めています。

なお、これらの費用をどの勘定科目に計上するかなどの会計処理は、企業ごとに社内ルールが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

厚生労働省の資料によると、人材派遣会社のマージン率の平均値は30.4%。マージンの内訳ごとの派遣料金に占める割合の平均値は、社会保険料・労働保険料が11.4%、続いて営業利益が5.9%、福利厚生費3.4%、教育訓練費が2.4%の順となっています。

このようにマージンの中には、派遣スタッフを優れた人材へ育てる教育費や、スタッフが健康や生活を向上させるための取組みである福利厚生にかかる費用など、とても重要な要素が含まれています。

マージンをどのくらい教育や福利厚生などに当てているかは、派遣会社によって違いますが、マージン率は公開の義務があります。各派遣会社のマージン率の内訳を確認することは、サービスや人材の質を見極めるのに役立ちます。

参考:厚生労働省「マージン率等の情報提供について」

人材派遣費用の平均額と相場の目安

派遣 費用4
派遣料金はマージンだけを把握すればいいわけではありません。派遣料金全体の相場も知っておく必要があります。近年は、特に事務系を中心に時給が高騰しており、派遣料金の水準にも影響が出ています。

本章では、以下のような「業種・職種別の相場」もあわせて確認できます。

  • 一般事務従業者
  • 営業・販売事務従業者
  • 情報処理・通信技術者
  • 製造技術者
  • 営業職業従事者

それでは、人材派遣の平均費用と業種・職種別の相場を見ていきましょう。

人材派遣の平均額

人材サービス大手エン・ジャパンの調査によると、7月の三大都市圏(関東・東海・関西)の全職種平均時給は、1,628円で過去最高を更新しました。

特に事務系に当たるオフィスワーク系は1,599円と37円(2.4%)高く、直近では新年度の求人が増えた3月(3%高)、4月(2.6%高)に次ぐ上昇率で、前年同月の上昇率(0.2%)を大きく上回りました。

参考:日本経済新聞「7月の派遣時給、事務系が最高 イベント再開で2.4%高」

人材派遣費用の相場(職種別)

派遣料金の相場は業種や職種によっても異なります。厚生労働省が発表した2020年の業種・職種別の派遣料金の相場を見てみましょう。

※平均派遣料金の金額は労働時間8時間にて換算したものです。

派遣料金の全業務平均は23,044円でした。

『7月の派遣時給、事務系が最高 イベント再開で2.4%高』

引用:日本経済新聞

上記で取り上げられている通り、人材派遣市場で事務系の時給が高騰していて、過去最高を更新しています。しかしながら、派遣料金も正社員給与と同じく、IT系など専門的な技術職ほど派遣料金は高く、事務職系は安い傾向に変わりはありません。

参考:厚生労働省「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」

人材派遣費用を抑える方法

派遣 費用6

人材派遣費用を抑えるには、派遣会社の比較だけでなく、社内運用の見直しや外部リソースの活用が効果的です。
本章では、特に成果が出やすい次の3つの方法を紹介します。

  • コストの意識を高める
  • 残業時間の管理を徹底する
  • オンラインアウトソーシングを活用する

これらの取り組みを組み合わせることで、トータルの人件費を最適化できます。順に解説します。

コストの意識を高める

人材派遣だけに言えることではありませんが、経営者だけではなく、社員ひとりひとりがコスト意識を持つことが重要です。
コスト意識とは、印刷ミスを減らしたり消耗品の費用を抑えるなど「モノ」の費用を下げるだけではありません。
ミーティング時間を最適化したり、作業のムダをなくして業務効率をあげたりするなど「時間もコストである」と社員ひとりひとりが考えることでコスト削減につながります。

残業時間の管理を徹底する

派遣社員の残業代は、基本、超過分に対して以下のような割り増し賃金が支払われます。

・週40時間を超過した分は1.25倍
・深夜労働(22:00~5:00)の場合は更に1.25倍
・法定休日の労働は1.35倍
また2023年4月より、1か月に60時間を超える時間外労働に対する割増率は中小企業も大企業と同様の50%に引き上げられました。

残業時間が多い場合、ここを見直すことで大幅に派遣費用を抑えられます

  • 派遣社員に依頼している業務内容に負荷がないか?
  • 派遣社員のスキルが求められるレベルに達しているか?
  • 社員と派遣社員の業務内容(コアorノンコア)が明確に整理できているか?

スタッフや現場の状況を確認しながら、業務内容や配分を検討すると良いでしょう。

オンラインアウトソーシングを活用する

オンラインアウトソーシングとは、オンライン上でアシスタントが業務をサポートする外部サービスのことです。リモートワークの普及や業務のデジタル化が進む中で、「必要な業務だけを外注できる柔軟な選択肢」として利用が広がっています。

では、人材派遣とオンラインアウトソーシングは何が違うのでしょうか。

最も大きな違いは、適用される法律と契約形態です。派遣社員の場合、労働者派遣法に基づいて 同一の組織で就業できる期間は原則3年(一部例外あり)と定められています。3年ごとに、次のいずれかを選択する必要があります。

  • 正社員として採用する
  • 契約を終了する
  • 部署を変更して再契約する

一方、オンラインアウトソーシングは多くが「請負契約」に基づくサービスであり、労働者派遣法の「3年ルール」は適用されません。
そのため、契約期間に制限がなく、必要な業務を継続して依頼できるというメリットがあります。

オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」

HELP YOU

ここで、おすすめのオンラインアウトソーシングサービスとして、「HELP YOU(ヘルプユー)」をご紹介します。

HELP YOUは、株式会社ニットが運営するオンラインアウトソーシングサービスです。
優秀なアシスタントによるサポートと、ツールを活用した自動化で貴社の業務効率化に貢献します。

特徴 ・優秀なアシスタント×ツールによる自動化で業務効率化を実現
・チーム制の「チームプラン」と専属アシスタントによる「1名専属プラン」を選べる
・最短3日で導入可能
対応業務範囲 ・秘書・総務
・経理
・人事・労務・採用
・営業事務
・マーケティング・広報
・ECサイト
・資料作成 など
※各サービスはご要望に合わせて組み合わせが可能
サポート体制 ・チームプランと1名専属プランの2プランから選べる
・ディレクター(専属の担当者)が窓口となってスムーズに業務を進行
料金 <チームプラン>
・月額:10万円~(税抜)/実働時間:30時間~<1名専属プラン>
・月額:10万円~(税抜)/実働時間:30時間~
セキュリティ体制 ・プライバシーマーク取得
・機密情報を扱う一部の業務は専用の自社センターにて対応
実績 ・900クライアント以上
・導入企業:旭化成株式会社、三井不動産ビルマネジメント株式会社、イオンリテール株式会社など
・継続率98%

▼HELP YOUサービスの詳細を知りたい方は、こちらの資料もご覧ください

▼HELP YOUのユーザーレビュー・口コミ
管大輔さんのHELP YOUに関するレビュー|ミナオシ

「どんな業務をどこまで依頼できるか」「自社にはどのプランが合っているか」など、ご質問はメール・電話にて無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!

派遣費用を抑えるための代替手段

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派遣スタッフの活用だけでなく、雇用制度や公的支援を見直すことでも人件費の最適化は可能です。本章では、特に効果がある次の2つの方法を紹介します。

  • 雇用形態を見直す
  • 助成金を利用する

派遣費用の削減を検討している企業は、これらの選択肢も併せて検討することで、より柔軟な労働力の確保が可能になります。

雇用形態を見直す

企業の雇用形態は、当然、派遣社員だけではありません。パートやアルバイト、業務委託なども視野にいれて検討する必要があります。
自社の業種や業務内容に合った雇用形態は何か、じっくり見直してみると良いでしょう。

助成金を利用する

厚生労働省は、事業主の雇用のリスクを少しでも軽減するために、さまざまな助成金を用意しています。
助成金の活用は、企業にとっても労働者にとってもメリットがあります。自社が置かれている状況に合わせて雇用関係助成金の申請を検討するのも一つの手です。

<雇用助成金の一例>

助成金名 概要
雇用調整助成金 経済的理由で事業縮小が生じた際、解雇せずに休業・時短対応を行う企業を支援する助成金
早期再就職支援等助成金 離職者の再就職を早期に実現するための取り組みを支援する助成金
キャリアアップ助成金 有期・短時間労働者を正社員化する取り組みを支援する助成金
トライアル雇用助成金 職業経験が不足している求職者を試行雇用し、適性を見極める企業を支援する助成金
特定求職者雇用開発助成金 高年齢者・障害者・就職困難者の雇用を行う企業を支援する助成金

 
参考:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」

人材派遣の費用に関するFAQ

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人材派遣の費用に関するよくある質問と回答をFAQ方式で紹介します。

Q. 派遣スタッフの残業代の計算方法を教えてください

A. 派遣スタッフの残業代は、割り増し賃金の計算方法に応じて金額が決められます。
割り増し賃金になるのは、1日の労働時間が8時間、1週間に40時間を超えた場合です。こういった場合、労働基準法により、25%を加えた賃金が支払われます。

残業代(割増し賃金)の計算方法は、「1時間の賃金×残業時間×1.25」で計算します。
たとえば、時給1,000円で10時間の残業をした場合、1,000円×10時間×1.25なので、残業代は12,500円となります。

Q .派遣社員の交通費は人材派遣先企業が負担するのですか?

A. 2020年4月施行の「同一賃金・同一労働(改正労働者派遣法)」により、派遣社員にも通勤手当として時給とは別で交通費が支払われるようになりました。

同法では派遣会社が派遣社員に対し、実費支給によって一般労働者(正社員)と同等以上の交通費を確保することが求められています。

Q .派遣費用が平均よりも高い会社は避けるべきですか?

A. 派遣費用が平均よりも高いからと言って一概に「利益重視の悪い会社」とは限りません。マージンには、教育訓練費や福利厚生費、募集費用なども含まれています。
マージンの使い道は、「派遣スタッフに質の高いトレーニングを提供したい」「派遣スタッフによい報酬を与えたい」「質の高い人材を募集したい」など、各社の狙いによって違いがあります。

そのため、平均よりも高い場合は、なぜそのマージン率で運営されているか、マージンの内訳はどうなっているかなどトータルで見て派遣会社の評価することが重要です。

派遣費用のまとめ

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コストを抑えつつ必要な人材をすばやく確保する方法として、人材派遣会社の活用は有効な手段の一つです。
しかしながら国内には数多くの人材派遣会社があり、その特徴もさまざま。まずは、人材派遣の仕組みや相場をしっかりと理解することが重要です。
その上で、どこに着目して採用活動を進めるべきかを見直し、自社にあった方法を模索することをおすすめします。

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