派遣社員の人件費はどう計上する?内訳・相場・節約ポイントをわかりやすく解説

派遣の人件費とは、派遣会社へ支払う「派遣料金」を指し、企業では外注費として計上されるのが一般的です。
派遣料金には、社会保険料・派遣社員の給与・派遣会社のマージンが含まれるため、金額だけを見ると高く感じられることもありますが、内訳を理解すると適正なコストかどうか判断しやすくなります。
本記事では、以下の内容を初めての方でもすぐ理解できるように整理して解説します。
- 派遣社員の人件費がどのように計上されるか(勘定科目の基本)
- 派遣料金の内訳
- 派遣の人件費の相場
- 人件費を抑えるため方法
派遣の人件費に関する勘定科目について

派遣の人件費は、企業の帳簿上では「人件費」ではなく、就業実態に応じて外注費や業務委託費として処理されるのが一般的です。
派遣として働く場合と、業務委託として働く場合で勘定科目が異なるため、まず両者の違いを理解しておくことが重要です。
以下では、就業実態ごとに適切な勘定科目をわかりやすく整理します。
- 派遣として働く場合の勘定科目
- 業務委託として働く場合の勘定科目
就業実態によって異なる勘定項目
派遣社員にとっての、所属会社(=個人で契約している派遣会社)と実際に勤務している会社(=派遣会社との取引先企業)はそれぞれ異なります。
そのため派遣社員を提供されている会社(=派遣会社との取引先企業)は、就業実態として「派遣」なのか「業務委託」なのかを見極めた上で給与の勘定項目を設定することが必要となります。
派遣として働く場合の勘定科目
派遣社員の給与の勘定科目として一般的に適用されるのは「人材派遣費」です。
派遣社員の提供を受けている企業が人材派遣会社に支払う派遣費用を管理する場合、「人材派遣費」として処理されるでしょう。
業務委託として働く場合の勘定科目
一方で、派遣社員の給与の勘定科目を「外注費」「外注工費」として処理するケースもあります。
これらは契約先企業の判断によって異なりますが、それぞれの会社の規程や状況に応じて設定することができます。
就業状況の実態や契約先との関係などから最も適切な科目を選ぶようにしましょう。
派遣社員を雇う際の人件費の相場

派遣社員の人件費(時給)は全国平均で1,200円〜1,500円程度です。勤務地や職種、求められるスキルによって時給は変動します。
給与は派遣先企業が直接支払うのではなく、派遣会社を通して支払われるため、費用の仕組みを理解しておくことが重要です。
派遣の人件費の内訳と費用項目
派遣の人件費は、単に給与だけではなく、複数の費用項目で構成されます。派遣費用の仕組みを理解することで、コストの内訳や計上方法を正しく把握できます。
ここでは、派遣の人件費を構成する主要な費用項目を整理し、それぞれの役割や特徴を分かりやすく解説します。
本パートでわかること:
- 初期費用
- 毎月発生する費用
- 社会保険料の扱い
- 派遣会社に支払うトータルの金額
- 外注費としての計上
初期費用
正社員を雇用するときの初期費用は下記のようなものが挙げられます。
- 採用費:求人を募集するためにかかる費用
- 教育費:雇用後、業務に必要な知識やスキルを身につけるための研修費用
- 準備費:パソコンや制服などの備品にかかる費用
派遣社員を雇う際は、これらの初期費用(=イニシャルコスト)はほとんどかかりません。
業務内容の整理や条件に合う派遣スタッフとのマッチングなど、契約が完了するまでお金は発生しないからです。
ただし、人員を新しく増やす場合は別途準備費用が必要となることもあります。
毎月発生する派遣費用
派遣社員を雇った際に毎月かかる費用、つまり維持費用(=ランニングコスト)が派遣費用です。派遣費用は派遣会社との交渉で決まります。
派遣費用の内訳は以下の通り。正社員を雇う際にはそれぞれ別々の管理が必要ですが、派遣費用は一括管理が可能です。
- 基本給:所得税や住民税は派遣会社が負担
- 福利厚生費:交通費、定期検診など。すべて派遣会社が負担
- 社会保険料:派遣会社と派遣社員が負担
社会保険料の扱い
派遣費用の中には社会保険料があります。しかし、広義の社会保険料とは少し異なるので詳しく説明します。
広義の社会保険料は、次の4つのことをいいます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 労災保険料
- 雇用保険料
しかし、派遣社員を雇用したときにかかる社会保険料は、狭義の健康保険料と厚生年金保険料を指しています。これは派遣費用の基本給(=時給)に含まれているため、別途支払う必要はありません。
また、労災保険料と雇用保険料を含む労働保険料は社会保険料の一部であるため、基本給(=時給)に含まれており、別途支払う必要はありません。
社会保険料に関する手続きはすべて派遣会社が行うため、負担を軽減することもできます。
派遣会社に支払うトータル金額
一般社団法人日本人材派遣協会によると、派遣会社に支払う費用の内訳は以下のように整理することができます。
- 派遣社員賃金
- 社会保険料
- 派遣社員有給休暇費用
- 派遣会社諸経費
- 営業利益
内訳をグラフにするとこのようになります。

参考:一般社団法人日本人材派遣協会「データ」より作成
時給1,300円の派遣社員をフルタイム(1日7時間)で雇ったときにかかる1ヶ月の支払額は、
時給1,300円×7時間×20時間=18万2,000円
となります。
仮に1ヶ月20時間の残業をした場合は、残業代が労働基準法により25%増しとなるので、
1300円×125%×20時間=3万2,500円
となり、
1ヶ月の総支払額は、
18万2,000円+3万2,500円=21万4,500円
となります。
つまり、派遣会社に払うトータルの金額は次のようになります。
| 総支給額 | 21万4,500円 |
| 内派遣費用 | 15万150円 |
| 内社会保険料 | 2万3,380円 |
| 内派遣会社への手数料他 | 4万470円 |
外注費としての計上
派遣社員を雇う際にかかる費用は、人件費ではなく外注費として扱うことができます。
通常、社員やアルバイトを雇う場合は「直接雇用」となり、会社と社員の間で取引があるため、人件費扱いとなります。しかし、派遣社員の場合は派遣会社との取引となるため「間接雇用」となり、経費を外注費として扱うことができるのです。
外注費のほうが人件費よりも税金面で優遇されることもあるため、企業としてはコスト管理において大きなメリットとなるといえるでしょう。
▼派遣の費用構造をさらに詳しく知りたい方はこちら
派遣を雇う人件費を抑える方法

派遣費用は、工夫次第で無理なく抑えることができます。ここでは、以下2つの具体的な人件費削減方法を紹介します。
- 残業時間の管理
- アウトソーシングの活用
残業時間の管理
派遣社員へ支払う費用の中に残業代が含まれている場合は、残業時間の見直しをすることで人件費を抑えることができます。
労働基準法では、1日8時間・週40時間を超えて働く場合、通常の25%以上割増で賃金を支払うことが義務付けられています。さらに、22時~翌朝5時までの深夜労働も25%割増となるため、時間外労働と深夜労働が重なると50%割増となります。
すでに派遣社員を雇っていて残業代が発生している場合は、業務内容や量と派遣社員のスキルのバランスが合っているかどうか、無理はないかどうかを確認してみるといいでしょう。
オンラインアウトソーシングの活用
オンラインアウトソーシングとは、文字通りオンライン上で自社の業務をサポートしてくれるサービスをいいます。スキルのあるアシスタントがオンラインを通じて、オフラインと変わらないクオリティで業務を進めます。
派遣社員は自社に常駐させるのが基本ですが、オンラインアウトソーシングはその必要がありません。また、派遣社員を雇う際は契約期間内に一定量の業務があることが前提となりますが、オンラインアウトソーシングの場合は人手が欲しいと思ったタイミングで依頼することが可能です。
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管大輔さんのHELP YOUに関するレビュー|ミナオシ
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派遣の人件費に関するよくある質問(FAQ)
派遣の人件費について、よくある疑問をQ&A形式で整理しました。内訳や経費処理など、知っておくと役立つポイントを端的に解説します。
Q. 「派遣の人件費は高い」と言われるのはなぜですか?
A. 派遣料金には「時給+諸経費+派遣会社のマージン」が含まれるため、表面上は高く見えることがあります。ただし、正社員のように社会保険料や賞与、採用コストが発生しないため、トータルでは割安になるケースもあります。
Q. 派遣料金には消費税がかかりますか?
A. はい。派遣会社へ支払う料金には消費税が課税されます。
人件費そのものには消費税は発生しませんが、派遣会社の「役務提供」に対して課税される仕組みです。
Q. 派遣の人件費に含まれる雑費や付随費用には何がありますか?
A. 派遣の人件費には、交通費や備品購入など、案件により発生する実費精算の雑費が含まれる場合があります。
ただし、雑費の負担有無や範囲は派遣契約ごとに異なるため、事前確認が必要です。
派遣の人件費のまとめ

派遣を雇う際の人件費の内訳や計算方法、相場について紹介しました。
派遣社員は、正社員を採用するよりもコストと手間を抑えて人材の確保ができます。
人手不足に悩み即戦力が欲しいとお悩みの方は、派遣の利用を検討している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
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