【2024年版:DX成功事例22選】製造業から自治体まで多角的な取り組みを紹介
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、今後のビジネスの成長と競争力向上のために、多くの企業が取り組んでいくべき課題です。
「DX化の具体的な導入事例を知りたい」
「DXに取り組んだ結果、企業はどう変わるのだろう?」
など、DX化に成功した企業の取り組み事例を知りたい経営者やDX担当者の方も多いでしょう。
DX化に成功している企業や自治体は、具体的にどのような体制を築き、どのような施策を実行しているのでしょうか。
そこで、本記事では経済産業省発表の「DX銘柄2024」(最新版)に選定されたグランプリ企業やプラチナ企業をはじめ、22のDX成功事例を業種別に紹介します。
製造業、不動産業、金融業、自治体など、さまざまなジャンルの事例を取り上げています。DXを推進したい企業は、ぜひ参考にしてください。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という概念は、2004年にエリック・ストルターマン氏が世界で初めて提唱しました。
当時スウェーデンのウメオ大学で教授をしていたエリック氏は、論文の中でDXについて以下のように定義しています。
「ICT(※)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」
※ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術のこと。コンピュータやインターネットなどの情報技術(IT)と、それを使って人々が情報をやり取りするための通信技術を総称したものです。
そして2022年、彼はDXを推進する日本の現状に合わせて、社会、公共、民間の3つの観点で、DXの定義を再策定しました。その内容を簡単にまとめると以下のようになります。
〈社会のDX〉 DXは、人々の生活に影響を及ぼし、その質を向上させ、スマートで持続可能な社会を実現可能にする 〈公共のDX〉 〈民間のDX〉 |
DXは、単なる技術の発展ではありません。DXによって、世界はリアル空間とデジタル空間が融合した高度で複雑なものに変化していくでしょう。
DXは、そのような世界とこれから関わっていく私たち一人一人に大きな影響を与える深い変革だと、エリック氏は説明しています。
デジタルトランスフォーメーションの必要性
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、「2025年の崖」というキーワードが使用されています。
このレポートは、企業に対してDXの必要性を訴える目的で作成されました。
レポートによれば、DXを推進しなければ企業の業務効率と競争力の低下は避けられず、2025年からは年間で現在の約3倍、最大約12兆円もの経済損失が発生すると予測されています。これを「2025年の崖」と表現したのです。
レポートは、業務効率・競争力の低下を引き起こす主な原因として、既存システムのブラックボックス化(内部の仕組みが分からなくなること)とレガシー化(古くなり、時代遅れになること)を挙げています。
具体的には、システムを長期運用するうちに担当者が変更されるなどして、システムがブラックボックス化してしまうことがあり問題になっています。ブラックボックス化したシステムは改修が難しく、多額の費用と人的リソースを使って運用し続けているケースも多く見受けられます。
さらに、時間の経過とともにシステムがレガシー化することも問題になっています。レガシー化したシステムは最新の技術やニーズへの対応が難しくなります。
これらの課題を解決しなければ、データを活用しきれず、DXの実現は困難です。現状のまま何も対策をしないと、日本企業の多くが今後の世界的なデジタル競争で敗者になってしまうかもしれません。
対応できていない企業は、問題を先送りにせず、早急にシステムを再構築することが求められます。日本国内の企業が市場で勝ち抜くためには、DXの推進が必要不可欠なのです。
DX、デジタイゼーション、デジタライゼーションの違い
デジタル化を表現する似た言葉に「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」があります。それぞれに意味が異なり、この違いを理解することがDXの理解につながります。
まずは、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」の意味を確認しましょう。
■デジタイゼーション(Digitization)
〈意味〉紙などのアナログ情報をデジタル形式に変換すること
〈具体例〉
・紙の書類をスキャナーでスキャンしてPDFファイルにする
・フィルム写真をデジタル写真に変換する
■デジタライゼーション(Digitalization)
〈意味〉デジタル技術を導入して業務効率化し、手続きやプロセスを改善すること
〈具体例〉
・会社の勤怠管理を紙のタイムカードからデジタルタイムカードに変更する
・顧客情報を紙のファイルからCRM(顧客関係管理)システムに移行する
上記の2つの言葉は、デジタルツールを活用して特定の工程や作業環境を改善することを意味しています。
それに対して、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルによる「新たな価値創造」を意味します。
デジタルトランスフォーメーション成功事例(DX銘柄2024選定企業)
この章では、「DX銘柄2024」で発表されたデジタルトランスフォーメーションの成功事例を紹介します。
「DX銘柄2024」とは、東京証券取引所の上場企業のうち、DX推進に向けた仕組みを構築し、優れたデジタル活用の実績をあげていると認定された企業のことです。
経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、東京証券取引所が共同して選定しています。
DX銘柄に選定されると、DX推進企業としてアピールでき、株式市場で注目されるというメリットがあります。
また、DX銘柄を目指すことで組織全体で問題意識を共有し、士気が向上するなど、DX推進体制の強化にもつながるでしょう。
DX銘柄に選出された25社の中から、デジタル時代を先導する企業として3社が「DXグランプリ企業」に選定されています。
さらに、「3年連続でDX銘柄に選定、過去にDXグランプリ受賞歴あり」という条件をクリアした企業の中でも特に傑出している企業2社が「DXプラチナ企業2024⁻2026」に選出されました。
それでは、グランプリ企業とプラチナ企業、及びDX銘柄に認定された企業や自治体を業種別に分けて、順に22個の事例を紹介します。
参考:経済産業省「『DX銘柄2024』『DX注目企業2024』『DXプラチナ企業2024-2026』を選定しました!」「デジタルトランスフォーメーション銘柄 ─DX銘柄 ─2024」
DX事例1.株式会社LIXIL【DXグランプリ企業2024】
株式会社LIXILは、住宅設備機器や建材を製造・販売するグローバル企業です。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験)の向上
- AI音声認識を活用したオンラインショールームや3D見積もり
- コールセンターに自動音声認識の技術を導入。顧客体験を向上させ販売プロセスを効率化
■従業員エクスペリエンス(EX:従業員体験)の向上
- 生成AI技術を取り入れた「LIXIL Ai Portal」を導入
- 「LIXIL Data Platform(LDP)」を立ち上げデータを一元管理
CXからEXまで、全方位でデジタル化を推進し、実績を上げていることが高く評価されています。
参考:株式会社LIXIL「LIXIL、「DXグランプリ企業2024」に初選定」
DX事例2.三菱重工業株式会社【DXグランプリ企業2024】
三菱重工業株式会社は、多国籍の重工業メーカーで、航空宇宙やエネルギー分野で活躍しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■カーボンニュートラルの推進
- 日本政府が目指す2050年のカーボンニュートラル達成に対して、2040年までの自社の先行達成を打ち出し、ロードマップを年々具体化
■先進制御技術を集約したプラットフォーム「ΣSynX(シグマシンクス)」の導入
- EC(電子商取引)や物流に対応したワンストップソリューション事業を展開
デジタル技術を活用した安全・安心な社会基盤の実現を目指しており、社会課題解決に寄与するDXとして評価されています。
参考:三菱重工業株式会社「「デジタルトランスフォーメーション(DX)グランプリ2024」を初受賞」
DX事例3.株式会社アシックス【DXグランプリ企業2024】
株式会社アシックスは、競技用シューズやスニーカー、アスレチックウエアなどスポーツ用品の製造・販売を行っています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■既存ビジネスの深化
- データ活用による経営の見える化
■新規ビジネスモデルの創出
- DTC(Direct to Customer:直接顧客に製品やサービスを販売)シフトの強化
- アシックススポーツ工学研究所の商品開発力と品質を掛け合わせ、中期経営計画の目標を大幅達成
グローバルな拠点設置・人材配置を行っているほか、全世界で700名超のデジタルプロフェッショナルを抱えており、高いDX実現能力を誇っています。
参考:株式会社アシックス「アシックスが「DX銘柄」において「DXグランプリ2024」に選定」
DX事例4.株式会社トプコン【DXプラチナ企業2024-2026】
株式会社トプコンは、測量機器や医療機器の製造・販売を行う日本の企業です。制度開始当初から傑出したDXの取り組みを継続している企業として評価され、DXによる社会課題の解決に取り組んでいます。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■医(ヘルスケア)・食(農業)・住(建設)のデジタル化・自動化
- 眼健診の仕組み作りで医療効率向上
- 農業の工場化による従来の作業プロセス変革、生産性向上
- 建設工事の工場化で技能者不足解消
Microsoft社とのパートナーシップを締結し、AIを活用したヘルスケア分野のDXソリューションを加速しています。
参考:株式会社トプコン「「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」の 「DXプラチナ企業2024-2026」に選定されました」
DX事例5.株式会社日立製作所【DXプラチナ企業2024-2026】
株式会社日立製作所は、多様な分野で事業を展開する総合電機メーカーです。情報・通信システム、社会・産業システム、電子装置・システムなどを提供しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■Lumada(ルマーダ:日立独自のソリューションやサービス、テクノロジー体系の総称)による社会課題の解決
- データ活用による本質的ニーズの提案
- テクノロジーを駆使した革新的なユーザー体験の提供
- 利用状況のデータを蓄積し、新たな課題を発見
DX実現に向けた人財確保・人材育成などを通じ、企業文化を変革する取り組みも評価を受けています。
参考:
株式会社日立製作所「日立が「DXプラチナ企業2024-2026」に選定されました!」
株式会社日立製作所「Lumada」
デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【製造業界】
ここからは、業種別にDXの成功事例を紹介します。まずは、製造業から3社。
DX事例6.株式会社クボタ
株式会社クボタは、農業機械、建設機械、エンジンなどを製造・販売する大手機械メーカーです。ARで建設機械の故障個所を確認するスマホアプリ「Kubota Diagnostics」を開発し、DXの推進を実現しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■新組織のグローバルICT(情報通信技術)本部の立ち上げ
- 事業本部ごとに分かれていたIT部門を統合し、新たにG-ICT本部として設置
- DX基盤を構築し、ビッグデータやAIなどの最先端技術を積極的に活用
Microsoft社と戦略的パートナーシップを締結し、Microsoft社のサービス基盤を多面的に活用。DXをさらに加速しています。
DX事例7.トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、世界最大級の自動車メーカーであり、幅広い車種を製造・販売しています。DXにより、工場と現場などの部署間をつなぐ情報共有基盤を構築しました。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■工場IoT(Internet of Things=モノのインターネット)の活用
- 工場横断の共有プラットフォームを構築
- 現場でプロジェクトを立ち上げ、ボトムアップで課題解決
- デジタル活用で各社員が困らないための工夫として、便利ツールをプラットフォーム上に用意
「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ」というトヨタ生産方式の考え方でデータの収集や蓄積を行い、無駄なデジタル化はせず、費用対効果を出しています。
DX事例8.ヤマハ発動機株式会社
ヤマハ発動機株式会社は、オートバイや船外機、マリン製品などを製造・販売しています。海外売上比率は約9割を占め、日本を代表するグローバルカンパニーです。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■さまざまなバックグラウンドの人材を集めた「デジタル戦略部」の立ち上げ
- 年間数十個のPoC(概念実証)を実施。新しいアイデアや技術が実際に機能するかどうかを初期段階で検証
- デジタル改革のための人事制度改革、デジタル事業のリーダーを育成
自社の売上拡大を最終ゴールとして、経営目線で「既存ビジネスの効率化」「未来のビジネスの創出」に取り組んでいます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【不動産業界】
次は、不動産業2社の取り組みを紹介します。
DX事例9.東急不動産ホールディングス株式会社
東急不動産ホールディングス株式会社は、都市開発や商業施設の運営など、あらゆる不動産事業を展開しています。同社のDXの取り組みは以下の通りです。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■VRショールームを設置
- 顧客が自宅にいながら物件見学やシミュレーションが可能
- 建物模型やモデルルームをデジタル化して資材を削減。環境負荷の低減に貢献
■NFTの活用
- 新たな価値創出による地域振興として、ニセコの朝一番のパウダースノーを滑る権利をNFTで販売
外部人材の獲得、知見の内部蓄積を目的としたDX機能会社を設立。報酬体系や仕事環境を整備し、優秀なデジタル人材を獲得しています。
DX事例10.三井不動産株式会社
三井不動産株式会社は、国内外での大規模な不動産開発・運営を行う総合不動産会社です。2020年にITイノベーション部を組織改正し、DX本部を設置しました。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■街づくりの事業変革(柏の葉スマートシティ)
- 住民の生活をより便利にするためのポータルサイト「スマートライフパス柏の葉」を開設
- 健康増進活動の提案や病気の重症化予防など、個人に最適化されたさまざまなサービスを提供
オフィスビルの事業変革も推進しており、決裁と会計のシステムを統合してフルクラウド化。ペーパーレス化やモバイル化、脱ハンコを進めました。
デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【銀行・保険・金融業界】
続いて、金融業3社の導入事例を紹介します。
DX事例11.株式会社りそなホールディングス
株式会社りそなホールディングスは、りそな銀行や埼玉りそな銀行などを傘下に持つ、日本の大手金融グループです。
カスタマーサクセスの取り組みとして、アプリを活用してデジタルとリアルを融合。顧客に対し、非対面でも対面と変わらないサービスを提供しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■りそなグループアプリによるデジタルバンキング戦略
- 顧客接点の増加(アプリ月間利用率80%)
- 新しいチャネルとして多様な選択肢を提供し、新しい価値創造に成功
セミセルフ端末「クイックナビ」を導入することで社員端末とATM等を連携し、店頭業務改革も実現。コスト削減につながっています。
参考:株式会社りそなホールディングス「りそなのDXへの取り組み」
DX事例12.株式会社鹿児島銀行
株式会社鹿児島銀行は、主に鹿児島県内で金融サービスを提供する地域密着型の銀行です。10年ビジョンで地域社会のデジタル化をリードする企業グループとしてDXを推進中です。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■CX(カスタマーエクスペリエンス)の追求
- 非対面チャネルを充実させ、新たな顧客体験を創出
- 地域社会の課題をデジタル化で解決できるよう、企業・自治体向けの支援を強化
独自のキャッシュレス決済サービス「Payどん」で地域振興にも貢献しています。自社にアプリ開発の経験がほとんどなかったため、初期開発はベンダーと協力しつつ、リリース後の運用は内製化。自社主体で開発を進められるよう体制を構築しました。
参考:
株式会社鹿児島銀行「DXへの取り組み」
DX事例プラットフォーム シーラベル「独自のキャッシュレス決済サービスで地域振興を目指す鹿児島銀行 〜地方銀行のDX成功事例〜」
DX事例13.ソニー損害保険株式会社
ソニー損害保険株式会社は、ソニーグループの一員として、自動車保険や火災保険などの損害保険商品を提供する保険会社です。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■運転特性連動型自動車保険「安全運転でキャッシュバックプラン」(旧:GOOD DRIVE)
- AIを活用し、利用者のスマートフォンで計測した運転特性データから事故リスクを推定 ・その結果に応じて、保険料を最大30%キャッシュバック
AI技術やスマホに搭載された機能を活用することでDXを推進。交通事故が少ない社会の実現を目指し、自動車保険の新たな価値を提供したことが評価されました。
参考:ソニー損害保険株式会社「AIを活用した運転特性連動型自動車保険「GOOD DRIVE」販売開始」
デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【教育業界・大学】
DXは教育業界でも活用されています。ここでは2つの取り組み事例を紹介します。
DX事例14.株式会社トライグループ
株式会社トライグループは、教育・研修業界でトレーニングプログラムやスキルアップ研修を提供する企業です。生徒の学習指導から大人の資格取得まで、幅広い教育サービスを展開しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■インターネットを活用した映像学習サービス「Try IT」
- 4000本の映像授業を無料で配信
- 生徒からの質問にすぐ答えることで、対面のような授業体験をオンライン上で実現
- 生徒の学習行動データをもとに、ポイントを絞った効率よい学習の仕組みづくり
「Try IT」の公式会員登録者数は100万人を超え、新しい学習指導の形として業界にビジネス変革をもたらしました。
参考:
株式会社トライグループ「中学生・高校生向け映像授業サービス Try IT」
コージェントラボ「日本におけるDX先進事例」
DX事例15.中央大学
中央大学は、法学部をはじめとした多様な学部・学科を有する教育機関です。オンデマンド印刷を導入し、資料の印刷物から個人情報が漏えいしないよう、デジタル技術を駆使した対策をしています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■情報プラットフォームサイト「+C(プラスシー)」を開設
- 大学に所属する研究者のビジョンや研究内容、産学連携事例について発信
- 実際に連携を行った企業と研究者の対談記事や、研究者へのインタビュー記事も公開
「+C」は、大学の研究と社会を結ぶ情報プラットフォームとして機能しており、デジタル化で産学官連携を推進する革新的な取り組みとして評価されています。
参考:
中央大学「中央大学の産学官連携に特化したサイト「+C(プラスシー)」がオープン」
京セラドキュメントソリューションズ株式会社「大学の現場でDXを行った事例|変革を推進するための手順は?」
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デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【航空・運輸・物流業】
次は、航空・運輸・物流業の3社の取り組みを紹介します。
DX事例16.日本航空株式会社
日本航空株式会社は「JAL」の略称で親しまれる、世界トップクラスの航空会社です。
同社は、ユーザー(顧客)視点に立ったDX化とデジタル技術を駆使したビジネスモデルの推進が評価されています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■ユーザーニーズに基づくシステム構築および運用、既存サービスの進化
- デジタル技術を使用し、顧客にとって複雑な運賃を刷新
- 予約、発券システムをクラウド上へ移行し、シンプルで分かりやすい料金体系を実現
デジタルシステムを活用し、新規事業にもチャレンジ。ドローンや空飛ぶ車といったエアモビリティ事業を展開し、JALのノウハウと最新のテクノロジーを組み合わせて収益化につなげています。
参考:日本航空株式会社「JAL、2年連続で「DX銘柄2024」に選定」
DX事例17.日本交通株式会社
日本交通株式会社は、日本の大手タクシー・ハイヤー会社で、都市部を中心にサービスを提供しています。株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)と配車アプリに関する事業を統合。顧客サービスを向上させ、日本のタクシー産業の進化をリードしています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■配車予測システム「AI配車」を開発
- 交通機関の状況や各種イベント情報、気象情報などのデータをAIで活用する配車予測システムを開発
データ活用による配車予測で、地域ごとに適正な配車ができるようになり、稼働率の向上に成功しました。また、顧客向けのタクシー配車アプリ「GO」は、顧客満足度の向上も実現しています。
参考:
IoTNEWS「日本交通とDeNA、タクシー配車アプリ等に関する事業を統合」
RPA ロボパットDX「【DX事例】14の成功事例から学ぶ!DXの効果と推進のポイント」
DX事例18.日本郵船株式会社
日本郵船株式会社は、海運における日本最大の総合物流企業です。レガシーシステムの刷新や全社の業務プロセスの標準化などでDXを実現。投資家や株主などに対して積極的にDX関連の情報発信をしています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■企業価値の貢献
- AIを活用し、100隻以上の船隊の配船計画を効率的に立案
- IBIS(Innovative Bunker & Idle-time Saving)プロジェクトによる燃費効率の一層の向上
- 船舶デザイン・運航・管理の事業化の推進
デジタル技術を用いてDXを推進する人材の積極的な育成や、日本の海運についての課題を解決するためのビジョン・戦略のクオリティも高く評価されています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【流通・小売り業】
次は、流通・小売り業の2社の取り組みを紹介します。
DX事例19.セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイ・ホールディングスは、セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂などを傘下に持つ総合流通持株会社です。商品やサービスが最終的に消費者に届けられる「ラストワンマイル(最後の区間)」において、グループ独自の配送プラットフォームを構築しました。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■「ラストワンマイルDXプラットフォーム」
- 車両・ドライバーの差配、配送ルート、配送料、受け取り場所・時間を最適化
- 効率的な配送管理や顧客体験の向上を実現し、環境にも配慮
「7iD(セブン&アイグループ共通の会員システム)」をグループ全体の資産として活用し、顧客ごとにカスタマイズしたサービスを還元しています。
参考:セブン&アイ・ホールディングス「セブン&アイグループのDXを推進する」
DX事例20.ファミリーマート
ファミリーマートは、日本全国に展開する大手コンビニエンスストアチェーンです。DX人材の獲得を強化しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■ファミペイ(アプリ)を活用した利便性の向上
- キャッシュレス比率を拡大させ、顧客の利便性と満足度を向上
- 店舗業務を省力化しコスト削減
2024年6月現在、無人決済コンビニエンスストアを41店舗で展開中。店内のカメラにより顧客と商品をセンサーで認識し、セルフで支払いができるため、人材不足への対応や人件費削減の効果も。短時間で手軽に買い物ができるため、顧客の利便性も向上しています。
参考:
ファミリーマート「デジタル推進による利便性の向上」
BizZine「ファミリーマートが取り組むDX組織の強化──新規ビジネス拡大を促すDX人材の採用と評価制度」
デジタルトランスフォーメーション(DX)地方自治体の事例
最後に、自治体のDX成功事例を2つ紹介します。
DX事例21.山口県
山口県は、新型コロナウイルスへの対応をきっかけにデジタル化の遅れを認識し、DX導入の必要性を実感。県・市町一体となって、県全体でのデジタル・ガバメントの構築に向けた取り組みを推進しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■県と市町との連携組織として「山口県デジタル・ガバメント構築連携会議」を設置
- 3つのテーマでワーキンググループを設置
(ワーキンググループのテーマ)
①情報システムの標準化・共通化
②行政手続のオンライン化
③RPA(業務プロセスを自動化する技術)等の共同利用
人材面などで課題を抱えている小規模市町村も多く、専門的な人材を確保して支援体制を強化しています。
DX事例22.熊本県
熊本県は、DX推進のプッシュ型支援を徹底して行うことで、全市町村でDXの取り組みを促進しています。
【デジタルトランスフォーメーションの取り組み】
■民間デジタル人材派遣事業
- 民間デジタル人材が県内すべての市町村を訪問。DXの取組状況を直接ヒアリング
- 週1回、県庁で民間デジタル人材と勉強会を実施し、市町村の実情に応じて助言
県と市町村で共同運用するシステムが増加し、市町村の事務的・経済的負担が軽減。先進的な取り組みや課題解決のノウハウが共有され、デジタルツールの導入やフロントヤード改革が進んでいます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるポイント
ここまで、さまざまな業種のDX事例を紹介しました。取り組み内容は多種多様ですが、成功事例には以下の共通点があります。
- 全社で取り組む
- データドリブンな意思決定
- 顧客体験の向上を目指す
- DX人材の確保と推進体制の構築
DXを成功させるには、この4つのポイントに注意して進めることが重要です。それぞれについて詳しく解説します。
全社で取り組む
DXを推進するには、経営層から従業員まで全員がDXの目的と意義を理解し、その推進に積極的に関与することが重要です。DXは企業全体が一体となって取り組むべき課題なのです。
具体的には、社内でDXの目的や意義を説明するワークショップやセミナーを開催したり、DX推進チームを設立して、異なる部署のメンバーで共同プロジェクトを進めたりするといった方法が考えられます。
また、DXはすぐに結果が出ないことも多いため、継続した取り組みが必要です。進捗状況を全社で共有し、必要に応じてDX戦略の見直しを行いながらPDCAサイクルを回していきましょう。
データドリブンな意思決定
企業や組織が意思決定を行う際には、経験や直感ではなく、具体的なデータや分析結果を根拠にすることが重要です。
AIや機械学習などの技術を活用し、ビジネスの意思決定をデータに基づいて行うことで、より正確で効率的な結果が得られます。RPAやAI OCR、スクレイピングなどを活用することも有効です。
RPA、AI OCR、スクレイピングの活用に興味がある方は、こちらの資料もご覧ください。
顧客体験の向上を目指す
DXはテクノロジーを進化させるだけでなく、顧客のニーズに焦点を当て、顧客体験の向上を目指すことが求められます。
例えば、 Netflixのレコメンデーションシステムでは、視聴履歴や視聴パターンを分析し、ユーザーごとにカスタマイズされた映画やドラマのおすすめを表示します。これにより、ユーザーは自分の好みに合ったコンテンツを簡単に見つけることができ、顧客体験が向上します。
また、 eコマースサイトのチャットボットでは、顧客がリアルタイムで質問や問題を解決できるようにしています。その結果、迅速なサポートが提供され、顧客満足度が向上します。
このように、デジタル技術を活用して、顧客に対するサービスや製品の提供方法を改善し、顧客満足度を高めることがDX成功のカギとなります。
DX人材の確保と推進体制の構築
DXを成功させるためには、従業員一人一人がデジタルスキルを持つことが重要です。新しい技術やツールの使い方を学ぶだけでなく、デジタル思考を身につけることも必要になります。
しかし、DX人材の確保と育成には時間とリソースが必要であり、全てのスキルを社内でまかなうことは困難です。
そのため、 DXの人材不足に直面している企業にとって、アウトソーシングは有効な解決策となります。
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まとめ
今回は「DX銘柄2024」などから、日本における最新のDX成功事例を紹介しました。
DXに成功した企業には、以下の4つのポイントが共通しています。
- 全社で取り組んでいる
- データドリブンな意思決定をしている
- 顧客体験の向上を目指している
- デジタル人材を確保し推進体制を構築している
この中でも特に実行が難しいのは「デジタル人材の確保」です。
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