大学のDX成功事例5選!導入における課題の解決方法も紹介
近年、あらゆる組織でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されており、大学も例外ではありません。
大学は「教育」「研究」「社会貢献」という3つの役割を担っており、DX化は単なる業務改善にとどまらず、大学の魅力や競争力を高めるためにも重要です。
しかし、
「DXに取り組みたいが、どこから手をつけていいかわからない」
「できるだけ手間やコストをかけずにDXを進めたいが、ノウハウがない」
といった悩みを抱えている担当者の方も多いでしょう。
この記事では、DXを積極的に推進する5つの大学の事例を紹介し、導入における課題の解決方法も解説します。
大学DXのヒントを探している方は、ぜひご一読ください。
大学DXとは?
まずは、DXとは何か、大学におけるDX推進の必要性とその目的から確認していきましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務プロセスや組織文化を変革し、新たな価値を創出することです。
日本では、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」をきっかけに広く知られるようになりました。コロナ禍において、リモートワークやオンラインサービスのニーズが高まり、DXの動きがさらに活発化しています。
参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)」
大学におけるDX推進の必要性
現在、大学が抱える課題には、例えば次のようなものがあります。
- 多様化する学生それぞれに合った学習機会の提供
- 分散する研究データの共有と利活用
- 紙ベースでの文書管理による業務効率の低下
これらの課題は、デジタル技術の活用によって解決が期待されています。
大学DXの目的
DXの目的は、その大学の特性やニーズによって異なります。教育の質の向上を最優先にする大学もあれば、業務の効率化を重視する大学もあるでしょう。
例えば、以下のような目的が挙げられます。
具体的な目的の例 | 具体的なDX施策の例 |
教育の質の向上 | オンライン授業やデジタル教材の導入 |
業務効率の向上 | ペーパーレス化など |
学生のエンゲージメント向上 | LMS(学習管理システム)の導入など |
コスト削減 | オンラインシステムの導入など |
データの活用 | AIやデータ分析ツールの導入 |
DXを成功させるためには、まず目的を明確にすることが重要です。目的が明確であれば、具体的な施策や計画を立てやすくなり、全員が同じ方向を向いて取り組むことができます。
大学のDX導入事例
ここからは、DXに積極的に取り組んでいる5つの大学の事例を紹介します。事例を通して、自身の大学でのDX推進のヒントやインスピレーションを得られることでしょう。
東京大学のDX取り組み事例
東京大学のDXは、教育・研究・業務の3つを柱にし、大学全体でデータの可視化や環境整備に取り組んでいます。
教育面では、学生が関わる情報を一元管理できる「UTokyo One」の導入を進めています。学生時代の活動(課外活動なども含む)を記録するポートフォリオ機能に加え、AIを利用した個別推奨機能なども検討されています。
研究面では、遠隔での大規模な共同実験を円滑に行うための研究環境の構築などが進められています。
業務面では、大学の指針である「UTokyo Compass」で定めた数値目標について、進捗状況を一目で把握できるダッシュボードを作成して公開しています。このダッシュボードは、学内の各部署で業務支援ツールとして利活用され、職員のモチベーションの向上にも役立っています。
参考:
東京大学「UTokyo Compass」
EY「大学DXを進める3つの柱 ~教育DX、研究DX、業務DX~ 東京大学が目指す対話を重視した運営」
NTT東日本「生命科学・医学研究のデジタルトランスフォーメーション(リモートバイオDX)実現に向けた連携協定を締結~日本初となるバイオ研究分野へのIOWNの活用~」
小貫美幸(東京大学)「データの可視化・公開が目指すもの ―東京大学におけるモニタリング指標IRデータ集の公開について」
近畿大学のDX取り組み事例
近畿大学では、業務効率と利便性の向上を目指してDXを推進しています。
学内の事務手続きのペーパーレス化に順次取り組み、2022年には完全ペーパーレス化を実現しました。
請求書業務については、クラウド請求書受領サービス「Bill One」の導入によりデジタル化を実現。紙ベースで送付されていた請求書をオンラインで受領・データ化することで、請求書処理にかかる時間を大幅に削減しています。
また、キャリア支援においては、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を導入。紙ベースによる名簿管理からデジタル管理へ移行したことにより、学生自身がアプリを活用してOB/OGを検索することが可能になりました。
この変革により、大学事務サイドの業務効率が向上しただけでなく、学生の利便性も大幅に向上しています。
参考:
NEWSCAST「学内事務手続の完全ペーパーレス化を実現 DXの推進によって、ニューノーマル時代の新たな教育環境を構築」
NEWSCAST「近畿大学が大学法人として初めてクラウド請求書受領サービス『Bill One』を導入 ~デジタル化で職員の働き方改革を後押し~」
京都産業大学のDX取り組み事例
京都産業大学では、学生の成長のためのスマートキャンパス化を推進。ソフトバンク株式会社やLINE株式会社などの民間企業と連携して、最新のデジタル技術を導入しています。
例えば、証明書発行におけるQRコード決済の導入や、仮想現実(VR)技術、拡張現実(AR)技術を活用した体験会の実施などに取り組んでいます。
また、学内で学生と教職員が使用するMicrosoft TeamsにAI窓口を設置することで、学生の利便性向上と窓口業務の負担軽減を実現しました。
参考:
京都産業大学「大学DX」
京都産業大学「新しい学生生活・教育研究の実現に向けたスマートキャンパス構想!ソフトバンク株式会社×LINE株式会社と包括連携協定を締結しました」
PR TIMES「PKSHA、大学DXに向けて京都産業大にPKSHA AI ヘルプデスクを導入」
大阪大学のDX取り組み事例
大阪大学では、人財データの活用とコスト削減を目的に、DXを推進しています。
大阪大学に関わるすべての構成員の統合ID基盤「OUID(Osaka University IDentity)システム」を構築し、顔認証入場管理システムを導入しました。これにより、鍵管理や鍵貸出台帳への記入が不要となります。
今後は、デジタル学生証や授業の出欠管理、卒業生との終身交流など、さらなる利活用が期待されます。
業務のDXでは、生成AIサービス「Knowledge Stack」を全学事務部門に導入しました。学内規定や通知文書をデータソースにし、事務文書の英語化や議事録作成、資料要約など、さまざまな業務の効率化を実現しています。
参考:
大阪大学サイバーメディアセンター「大阪大学サイバーメディア・フォーラム No.24 」
大阪大学サイバーメディアセンター「【プレスリリース】大阪大学とNEC、学生・教職員・卒業生などの統合ID 基盤を構築」
大阪大学「<2024/5/30>大阪大学、生成AIサービスを全学事務部門に導入 業務の効率化・高度化を実現へ 生成AIサービスを国立大学法人最大級の規模で利活用」
東北大学のDX取り組み事例
東北大学は、ニューノーマル時代に相応しい教育・研究環境の実現と魅力ある職場環境の創出を目指して、DXを推進しています。
2020年には、「窓口フリー」「印鑑フリー」「働き場所フリー」という3つのフリーを掲げ、学内公募でプロジェクトチームを結成しました。
「窓口フリー」では、日本語・英語・中国語に対応した学生向けチャットボットを導入し、スマホやPCからいつでも必要な情報にアクセスできる環境を提供。
また、押印作業の見直しや電子決裁の導入により、業務の効率化も進めています。さらに、仮想クライアントの性能強化により、職場と同じ環境でテレワークが可能になりました。
加えて、東日本大震災の経験を踏まえ、ハイブリッド型災害対策本部やクラウド業務基盤の導入を進め、災害対策のDXも強化しています。
参考:東北大学DXナビゲーション「取組みのご紹介」
DX推進における具体的な課題や解決策、実施方法を知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。成功へのヒントが満載です!
大学でDXを推進するメリット
この章では、大学でDXを推進するメリットを4つ解説していきます。
教育の質の向上
大学DXは、教育の質の向上に大きな役割を果たします。
大学はデジタルツールやプラットフォームを活用することで、学生に新しい学習体験を提供できます。
例えば、ARやVRといった最新技術を活用することで、学生は実際に体験しているような投入感を得られ、より効果的に学習できます。
また、学生の学習進捗や成果をデータとして可視化することで、教員はきめ細やかな個別指導やサポートを提供しやすくなります。
遠隔授業の実現
オンライン授業やウェビナーの導入により、時間や場所の制約を超えて教育を提供できます。学生にとっては、進学先の選択肢を広げ、金銭的な負担も軽減されるでしょう。多忙な社会人も、時間を有効活用して質の高い教育を受けることができます。
また、AIを利用した多言語翻訳や字幕機能などを導入すれば、言語の壁を超え、国外からの学生も集めやすくなります。
遠隔授業の実現は、教育機会の拡大とグローバルな教育環境の創出に寄与します。
業務効率化
業務効率化もDXを推進するメリットの一つとして挙げられます。
大学の業務内容は、学生支援や研究活動のサポートなど多岐にわたり、業務量は年々増大しています。事務業務や運営管理をデジタル化することで、業務の効率化を図ることができます。
業務が効率化できれば、職員の負担は軽減され、学生支援の充実や研究活動の促進など、本来取り組むべき業務に集中できるようになります。
また、DX化によってどこでも仕事ができる環境を整備することで、移動にかかる時間を削減し、空いたスペースを有効活用することも可能です。
コスト削減
ペーパーレス化やオンラインシステムの導入により、大学の運営コストを削減できます。
大学には膨大な種類の紙の文書が存在しています。紙ベースでの文書管理には印刷コストや保管コストがかかります。ペーパーレス化により、これらのコストを削減できます。
また、窓口業務は大学の業務の中でもコストがかかる部分です。学生向けの問い合わせ対応にオンラインシステムを導入すれば、人件費や窓口運営にかかる諸経費を削減できます。
さらに、DXを活用することで、これまで見えなかったコストも可視化されます。例えば、デジタルツールを使って業務プロセスを分析することで、無駄なコストや非効率な部分を特定し、改善することができます。
大学の経営効率を向上させ、持続可能な運営を実現するためにも、DXは不可欠です。
大学でDXを導入する課題と解決のポイント
この章では、大学でDXを導入する上での課題とその解決のポイントについて解説します。
大学DXを成功させるための実践的な知識と戦略としてお役立てください。
導入・運用コスト
DX導入には、新しいシステム開発や設備整備が伴うため、初期投資や運用コストが大きくなりがちです。最初から大規模に始めてしまうと、DX推進がうまくいかなかった場合のリスクも大きくなります。
このリスクを軽減するためには、時間や費用対効果を考慮し、段階的に導入を進めることが重要です。予算内で効果的に進めるためには、計画的なアプローチが求められます。
例えば、全学で一斉に実施するのではなく、一部の部署で実施することで、実際にDXを進める上での課題も見えてきます。
また、低予算で始められそうなことから着手する方法もあります。既存のシステムやツールを活用することで、新たな開発や導入にかかる費用だけでなく、運用コストも抑えることができるでしょう。
変革に対する理解
DXの重要性や目的が正しく理解されていない場合、教職員や学生からの抵抗が生じやすくなります。慣れ親しんだやり方を変える際、誰でも最初は負担に感じるものです。
2023年に株式会社コンカーが実施した「大学事務デジタル化調査」でも、デジタル化が進まない理由の第一位として、「従来からの慣習」が挙げられています。
この問題を解決するためには、明確なビジョンと目標を設定し、全員が共有することで、変革に対する理解を深めることが重要です。
積極的に情報発信を行い、協力を得られるようにしましょう。
参考:株式会社コンカー「『IDE-現代の高等教育』競争力が問われる大学の変革期 ~浸透しない大学事務業務DXの現状~」
コミュニケーションの強化
前項とも関連しますが、情報共有やフィードバックの不足がDX推進の障害となることは多々あります。
DX化を進める際には、多くのデジタルツールやシステムの導入が伴います。業務プロセスが大きく変わる場合、情報共有の不足により現場に混乱が生じやすくなります。計画通りにいかない場合には、計画の見直しが必要となることも。
こうした問題を回避するためには、教職員や学生とのコミュニケーションを強化し、定期的な情報共有を行うことが重要です。日頃から信頼関係を築いておくことで、現場からのフィードバックを反映した修正や改善が可能となるでしょう。
評価と改善
いざDXを進めたものの、期待した効果がすぐ出るとは限りません。こうした場合、DXへのモチベーションが下がり、継続的な取り組みが難しくなるという懸念もあります。
この問題を防ぐためには、新しい運用を始めたら、定期的な評価と改善を行う仕組みを作っておくことが重要です。DX化の成果を客観的に評価するためにも、計画段階で目標の達成度を定量的に評価する指標(KPI)を定めておくことが有効です。
また、成功事例があれば積極的にメンバーに共有しましょう。DXの成果を見える化することで、モチベーションを維持し、継続的な取り組みを促進できます。
人材確保と推進体制の構築
多くの大学が直面している課題は、DX推進を担う人材確保・育成と推進体制の構築です。
DX人材は獲得競争が激しく、予算が限られる大学が優秀な人材を確保するのは難しい場合があります。また、人材の育成には時間とコストがかかります。
そこで検討したいのは、アウトソーシングの活用です。
外部の専門家を活用することで、必要なスキルを補完し、DXプロジェクトを円滑に進めることができます。また、進捗に合わせて、リソースを柔軟に調整できる点も、アウトソーシングの魅力です。
大学のDX導入はHELP YOUにおまかせ
DX人材の確保にお悩みの方におすすめのアウトソーシングサービスとして、「HELP YOU」をご紹介します。
HELP YOUの特徴
HELP YOUは、株式会社ニットが運営するオンラインアウトソーシングサービスです。
リソースの制約や効率化の課題に対し、専門知識を持つスタッフがトータルサポートを提供。社員がコア業務に集中できる環境づくりを支援しています。
DX推進サポートをはじめ、総務、人事・採用、経理、営業サポートなど、幅広い業務代行に対応しています。
対応業務 |
※各サービスは、お客様のご要望によって組み合わせが可能です。 |
料金 | <チームプラン> 月額:10万円~/実働時間:30時間~(税抜) |
HELP YOUには、さまざまなスキルを持った優秀なメンバーが多数在籍しているため、幅広い業務の依頼が可能です。
HELP YOUでは、チーム制でサポートする「チームプラン」や、専属アシスタントが業務をサポートする「1名専属プラン」など、お客様のご要望に合わせたプランをご提供しています。
「どんな業務をどこまで依頼できるか」「自社にはどのプランが適しているか」など、ご質問はメール・電話にて無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!
データ化のアウトソーシング事例①
ここからは、HELP YOUが実際に対応した業務の事例をご紹介します。
大学運営において、CRM(Customer Relationship Management)システムを運用しているところは多いのではないでしょうか。
CRMシステムとは、顧客(ここでは学生や卒業生)との関係を管理し、効率的なコミュニケーションを実現するためのツールです。
大学では、学生募集の効率化、在校生のエンゲージメント向上、卒業生との関係強化など、さまざまな場面で活用されています。
しかし、CRMシステムを効果的に運用するためには、膨大なデータのインポートが必要です。
HELP YOUでは、こうした膨大なデータ化に対応しています。データの正確な整理とインポートが迅速に行われ、大学のDX推進がスムーズに進められます。
データ化のアウトソーシング事例②
データの名寄せや重複チェックは、大学のDX推進において重要な役割を果たします。
名寄せや重複チェックを行うことで、学生や卒業生のデータを一元管理し、正確な情報を保持することができます。
また、重複データの削除や整理を行うことで、データベースの効率が向上し、検索・分析が迅速に行えるようになります。
さらに、データの整理も進むため、無駄な作業が減り、教職員の業務負担は軽減され、より重要な業務に集中できるようになるでしょう。
HELP YOUのデータ名寄せ・重複チェックサービスを活用すれば、大学のDX推進がさらにスムーズに進み、効率的な運営が実現できます。
その他、RPAやAI OCRなどを活用したデータ入力・連携の事例は、以下の資料でご確認いただけます。
大学のDX導入事例のまとめ
今回は、大学におけるDXの成功事例と課題・解決方法について紹介しました。
大学DXは、大学が社会のニーズに合った新しい価値を生み出し、生き残っていくためには欠かせない取り組みです。教育・研究の質の向上や業務の効率化を実現すれば、大学としての競争力を高めることにもつながります。
しかし、DX推進には専門知識が必要で、多くの時間と労力がかかります。リソースが不足している場合は、アウトソーシングも有効な手段の一つです。
HELP YOUには、DXに対応したデータ処理のノウハウを持ち、業務を効率的に進める優秀なアシスタントが揃っています。DX推進にお困りの際は、ぜひHELP YOUにご相談ください。
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オンラインアウトソーシングはHELP YOU
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特にオンライン上のアウトソーシングサービスは、下記の点で多くのお客様に選ばれています。
【HELP YOUが選ばれる理由】
1.厳しい採用プロセスをクリアした「優秀なアシスタント」が業務を担当
2.チーム制だから人材が退職して業務が滞るリスクなし!長期的な依頼が可能
3.専属ディレクターがつくため、様々な業務をまとめて依頼できる
日々の雑多な作業を外注し、重要な業務に集中して生産性を上げたい方は
ぜひこの機会にHELP YOUの導入をご検討ください。
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