残業時間規制を正しく理解していますか? 中身と企業の取り組み例をご紹介

日本企業の大きな課題となっているのが、長い労働時間です。

先進国の中では日本は最長で、たとえばドイツと比べると、1年間で350時間から400時間程度多く働いています。

この原因は、休暇取得が低いことと同時に、残業時間が長いことが考えられます。

残業時間が長いというのは、それだけ勤務時間内に仕事を終えられないという、業務の無駄が多いことを意味しています。

実際に、日本の労働生産性はとても低い状態にあります。

残業時間を減らすことは、企業に利益をもたらす業務の効率化に直接関わってきます。

また、過労死などのワードに代表されるように、残業時間が極端に長いことは、社員の生活の質にも大きく影響します。

企業も社員も、より幸せに仕事を楽しめるためには、残業についての意識改革というのがとても重要と言えます。

こうした点から、どのように残業時間を減らせるかを考えてみましょう。

 

残業時間の定義・計算方法

決められた時間以上に働くことを残業と呼ぶことは誰でも知っているでしょう。

しかし、「何時間以上働いたら残業となるのか?」という質問に、正確に答えられる人はそう多くはありません。

企業が確実に労務管理をするため、また社員としても自分の待遇についてしっかりと納得するために、この残業時間の正確な定義を知るのはとても重要です。

 

法定労働時間と所定労働時間という考え方

残業時間の正確な定義を知るためには、まず「所定労働時間」・「法定労働時間」という2つの考え方を把握しておく必要があります。

この違いを理解していないと、残業時間について勘違いしてしまうことがあるからです。

 

「法定労働時間」というのは、国によって定められている、労働時間の上限です。

これはかなり明確で、1週間に40時間、1日8時間という基準があります。一方の「所定労働時間」というのは、会社が独自で定めている就業時間のことです。

 

多くの会社は、この所定労働時間と法定労働時間が同じになるようにしています。

つまり、朝8時から夕方5時までで、1日8時間(1時間の休憩はマイナスされる)、週5日の勤務で週40時間という具合です。

 

しかし中には、1日7時間の勤務で週6日、土曜日は5時間の勤務としている会社もあります。

この場合も、たとえ週6日働くとしても、1週間トータルの勤務時間で40時間に収まるようになっています。

こうして、会社は国が定める法定労働時間を超えないように所定労働時間の割り振りをしています。

 

法定労働時間を超えたものが残業時間となる

このように、労働時間にも国と会社独自で定める2つの基準があることが分かります。

残業時間とは、そのうちの国が定める法定労働時間を超えた分を言います。

つまり、1週間に40時間以上働いた場合、もしくは1日当たり8時間以上働いた場合のことです。

 

たとえ、会社が独自に定める所定労働時間を超えているとしても、法定労働時間を超えていない場合は残業とはカウントされないことになります。

たとえば、1日7時間勤務としている会社で、ある日8時間働いたとします。確かに会社の規定は超えていますが、法定労働時間を超えていませんので残業とはなりません。

 

具体的な残業時間を計算する方法

残業時間の計算では、2つのポイントを考慮する必要があります。

それは、「1日当たりの法定労働時間をどのくらい超えたか」ということと、「1週当たりの法定労働時間をどのくらい超えたか」ということです。

 

1日8時間、週5日勤務という会社を例にとって考えましょう。この場合はとても簡単です。

10時間働いた日がその週に4日あったとします。すると、1日当たり8時間というルールをオーバーしているので、

2時間×4=8時間

という計算が成り立ち、残業時間は8時間ということになります。

 

一方で、1日7時間週6日勤務の場合です。

1日8時間働いた日が、3日続いたとします。この場合は、「1日8時間まで」という法定労働時間のルールは超えていません。しかし、週ごとの法定労働時間は超えています。

そのため、

(実際に1週間働いた労働時間)43時間-(週の法定労働時間)40時間=3時間

となり、3時間の残業時間が計上されます。

 

このように、残業時間を計算する時には、日ごとの労働時間と週の労働時間のトータルのどちらも考えることが重要なのです。

 

働き方改革による残業時間の上限規制

日本は海外と比べて、残業時間が長い傾向にあります。

そのため、政府主導の働き方改革によって、残業時間を減らす取り組みがなされています。

その1つの策として、2019年4月から残業時間の上限規制が設けられています。

 

36(サブロク)協定について

もともと、法定労働時間を超えての残業は、残業手当を払うことになっていました。

裏を返せば、残業代を払えば企業は残業をさせてもいいという形になっています。

しかし、この残業時間にも上限が設けられていました。この上限を定めたものが「36(サブロク)協定」と言います。

 

この協定では、1週間で最大15時間、1か月で最大45時間を上限すると定められています。

しかし、季節によって忙しさが変わる商売などでは、特別条項付きの契約を社員と結ぶことによって、この上限を無いものとすることができていました。

 

特別条項付きの契約でも上限が定められる

この特別条項付きの契約を結んでしまうと、事実上残業時間の上限という規定が意味のないものとなります。

そこで、働き方改革の法律改正によって、たとえ特別条項付きの契約を結んでいても、上限を設けるという形に変わりました。

 

具体的には、1か月当たりの残業時間の上限が100時間となります。そして、1年間のトータルの残業時間の上限は720時間となります。

元々あった、特別条項の適用、つまり月45時間以上残業ができる月は年間6か月以内という規定は残っています。

 

企業に課せられる罰則

このように、残業時間を減らすという目的のために、法改正がなされています。

しかし、現状ではなかなかこうした労務の改善というのはなされていません。

そこで、この法改正では罰則付きとしていて、強制力を持たせています。

 

懲役もしくは罰金の罰則付き

特別条項付きの契約を結んでいる労働者の場合、この特別条項が適用される付きで100時間が上限、1年間トータルで720時間が上限となります。

特別条項付き契約を結んでいないのであれば、1ヶ月45時間、1年で360時間が上限となります。

もし、この上限をオーバーして働かせると、6か月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金となります。

罰則を付けることで、この上限が確実に順守されることが期待されます。

 

ブラック企業の公表

こうした明確な罰則とは別に、厚生労働省ではいわゆるブラック企業の公表をおこなっています。

「労働基準関係法令違反に係る公表事案」という名前で、労働基準法に違反した労務を行っている企業を実名で挙げています。

これは、残業時間の違反だけでなく、労働者への待遇全般に明らかに違反する企業が含まれています。

このリストに載ると、ブラック企業ということが知られてしまいますので、ブランドイメージが下がりますし、就職希望者や取引企業が減ることになります。

これも1つの罰則と言ってもいいでしょう。

 

残業時間を減らす取り組み例

残業時間を減らすというのは、社員のためでもあり、強いては企業そのもののためでもあります。

そのため、残業時間を減らすための取り組みは真剣に行わないといけません。

 

勤怠管理の実際をチェック

まずは、勤怠管理の実際を確実に把握することが欠かせません。

数字上は残業時間が少ないように見えても、いわゆるサービス残業と呼ばれるタイムカードに載らない残業も多いからです。

社員がどのように勤務時間を付けているかを確認することで、確実な時間管理のための方法を知ることができます。

 

業務の効率化を図る

やるべき業務が勤務時間内に終わらないので残業が発生します。

そのため、無駄な業務がないか、時間ばかりが取られるような無駄な業務の手法が採られていないかを確認することが必要です。

必要に応じて、業務のアウトソーシングやIT化などによる業務の効率化を図ることができます。

これによって、同じ時間でもより多くの業務を果たすことができるようになります。

 

意識改革が重要

業務を効率よくして仕事を早く終わらせるということも大事ですが、同時に会社の中に残業をしてこそ良い社員という雰囲気がないかどうかを自己吟味することも大事です。

残業時間を減らすためには、意識改革が非常に重要な意味を持つからです。

そのためにも、会社を挙げて「ノー残業デー」を設ける、管理職を対象としたセミナーを開くなどして、社員の意識を変えていくことを行うのが効果的です。

 

残業時間を減らした企業例

日本企業の風潮として、残業をするのが当然という考えが根強く残っていました。

そのため、残業時間を減らすというのは難しい課題となることもあります。

そこで、この取り組みを行い成功した企業を見て、学んでみましょう。

 

業務スピードを上げたカルビー

お菓子メーカーとして知名度の高いカルビーは、業務スピードを上げるためのシステムを作りました。

たとえば、いつも同じところに座って作業をすると、ダラダラと働いてしまうことが多いので、仕事スペースを定期的に変えるというものです。

社員の席を、コンピュータが5時間ごとに指定して、どんどん移動させています。

気持ちを新たにして、仕事に集中することができるようになるというメリットが生まれています。

社員への徹底した「仕事を早く終わらせて、早く帰る」という意識改革も行っています。

 

コア業務に割く時間が増えたオプテージ

株式会社オプテージの事例も見てみましょう。

同社は元々インターネットの通信環境を企業や個人に構築する事業を行っています。

その後、事業の拡大を検討しクラウド通訳などの事業にも取り組み始めました。

格安スマホとして近年話題のMVNOのひとつ、mineoも取り扱っています。

しかし、新事業の立ち上げには付きものですが、事務的作業が煩雑になるなど、細かな業務によってコア業務に充てられる時間と労力が分散してしまうという傾向が見られました。

そこで、HELP YOUにこうした業務を委託して、オプテージではコア事業に集中できる態勢を整えました。

これによって、3割程度コア業務に充てられる時間が増して、より効率よく働けるようになったという結果が生まれています。

また、残業時間が短縮し、社員の負担がかなり減っているのも大きなメリットと言えるでしょう。

導入事例記事はこちら

 

朝方勤務にシフトした伊藤忠商事

日本を代表する商事会社である伊藤忠商事は、朝方勤務にシフトすることで、能率を上げる仕組みを採っています。

朝の5時から8時までに出社した社員には、割り増し賃金が与えられ朝食が支給されるという制度を設けています。

また、夜8時以降の残業は申請制、10時以降は残業禁止としています。

夜に働いている人には、見回りが声がけをするなどして、残業を減らしています。

 

まとめ

残業時間を減らすためには、まず法定労働時間をオーバーした勤務という、残業時間についての正しい定義と算出方法を理解する必要があります。

その上で、政府主導で行っている働き方改革の内容について知り、具体的に会社でも取り組みを始めることです。

業務の効率化を図ることや、社員の意識改革をすることは欠かせない対策となります。

 

実際に取り組みを行っている企業の例をチェックして、自社でも生かせる方法を探ってみることができるでしょう。

日本では当たり前のように行われてきた長時間労働、長時間残業ですが、働き方改革によって改善が求められるようになっています。

労働者の仕事と生活の質を向上させることにつながりますし、企業にとっても業務効率が上がるというメリットがあります

こうしたメリットを考えて、残業時間短縮のための取り組みを検討してみましょう。

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