テレワーク時代における人事の課題とやるべきこと【後編】

働き方改革の推進やウィズコロナの時代を迎え、テレワークという働き方はどんどんメジャーなものになってきています。
しかし、オフィスワークからテレワークへの切り替えは容易なものではありません。

今回の記事では、テレワーク導入の大きな課題の一つである「人事制度」について、フルリモートで社員が働くニットの事例を交えながら、見直し方のコツなどをご紹介します。

テレワーク時代の人事の課題


 
前編の記事では、働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大対策の一環として、テレワークが推奨されていることについて説明しました。
しかし、導入にあたってはさまざまな課題があることも事実です。

特に、多くの方がテレワーク下における「人事制度」に課題感を抱いていることがアンケートでも明らかになっています。

その中でも、オフィスに出社して働く場合とテレワークで働く場合とで、「評価制度」の基準を見直す必要があることがわかりました。
テレワーク導入にあたっては、過程を重視する従来のプロセス型よりも「成果型」の評価制度が求められています。

では、どうすれば成果型の評価制度体制を整えることができるのでしょうか?

テレワーク時代の人事評価のためにやるべきこと


 
「成果で評価する」ためには、以下のようなポイントに気を付けるといいでしょう。

やるべきこと1.業務の可視化

テレワークでの人事評価が難しい原因の一つに、「仕事をしている姿が直接見えない」という問題が挙げられます。

そこで、まずは「業務の見える化」を行うことが必要です。

業務の見える化といっても、安易に社員の様子やパソコン画面などを監視すればいいというわけではありません。

社員の働く様子を確認するという点では必要なことに思えるかもしれませんが、社員にもプライバシーがあります。業務時間中とはいえ、過度な監視はプライバシーの侵害にあたる可能性もあります。

何より、監視されることで「自分は会社や上司に信頼されていないのでは?」と思ってしまい、社員のモチベーション低下にもつながりかねません。

では、業務を見える化するにはどうしたらいいのでしょうか?

やるべきこと2.業務の棚卸し

業務の見える化を行うためには、まず業務の棚卸しから始めましょう。これは、普段取り組んでいる業務の現状を知るためにも必要なことです。

現状を正しく把握した上で、「目標を達成するためには何をすればいいのか」を考えることが、最初のステップとして欠かせません。

業務を整理していく中で、内容やフローが明確でない作業・アナログな作業・属人化している作業など、成果が見えにくくなっている業務が見つかるはずです。

そういった業務は、本当にそのやり方が最善なのかを検討していきましょう。

やるべきこと3.業務のオンライン化

棚卸しを行う中で「改善の余地がある」と感じた成果の見えにくい業務は、システムやツールを導入して積極的にオンライン化していきましょう。

オンライン化することにより、データや数値といった形で自ずと成果が目に見えるようになっていきます。
業務に取り組む上での目標や成果が今まで以上に管理しやすくなり、成果型の評価制度に取り組みやすくなるでしょう。

また、業務のオンライン化は効率化やコスト削減など、さまざまな効果も期待できます。

ただし、すべての業務をオンライン化する必要はありません。
オンライン化はあくまで一つの選択肢として捉え、それぞれの業務に適した最も効率的な方法を見極めることが大切です。

テレワーク時代の人事評価の事例


 
実際にテレワークを取り入れた働き方をしている、株式会社ニットの人事評価の事例をご紹介します。

人事評価の事例:株式会社ニット


 
株式会社ニットは、「『あなたがいてよかった』をすべての人に」をミッションに掲げ、オンラインアシスタントサービス「HELP YOU」や、働き方提案メディア「くらしと仕事」の運営を行っています。

そんな株式会社ニットでは、約400人のメンバーがテレワークで働いています。
テレワーク体制を基盤とした働き方に取り組む中で、人事評価やマネジメントをどのように行っているのでしょうか。

そこで今回は、ニットの人事担当者にインタビューを行い、テレワーク下での人事評価の方法、マネジメントにおけるポイントについて話を聞きました。

ニットの評価体制

―多くのメンバーがテレワークで働くニット(HELP YOU)ですが、現在の評価体制について教えてください。

人事担当:現在の人事評価やマネジメント方法は、以下を基準にしています。

1.累計稼働時間(半年間)
2.活動実績に応じた査定

半年間の累計稼働時間に応じてベースの時間単価を設け、そこにプラス査定・マイナス査定を加味して評価を定めています。
例えば、クライアントの満足度や売上向上に寄与した・メンバー育成や組織の活性化に貢献した等により、プラス査定が加算されるといった形です。

これらが評価やマネジメントにおける主な2軸です。

―この2軸を評価の基準に定めたのはなぜですか?

人事担当:累計稼働時間=売上への貢献が評価の主軸ですが、一方で少ない稼働時間でも実業務での評価が高い方や、コミュニティ活動(下記で説明)等における組織への貢献度が高い方は、プラス査定だけでも時間単価を上げられる形にして公平性を担保しました。

これらに加え、下記のような制度も設けています。

3.コミュニティへの参加
HELP YOUの全メンバーが任意で参加できるコミュニティを設けています。コミュニティの内容はスキルアップに役立つものから趣味のものまで多種多様です。

こうしたコミュニティ活動を通じて、HELP YOUのビジョンやミッションに貢献、あるいは他のメンバーに好影響を与えていると判断された場合も評価につながります。

4.パーソナル制度
さらに、高い専門性やスキルを持ったメンバーに対しては「パーソナル制度」を設けています。
それぞれの専門領域(ライティングや資料作成など)で認定を受けることで、1・2の評価を受けずに自分で報酬単価を設定できるようになります。

―主軸の評価制度とは別に、こうした制度を設けたのには何か理由があるのでしょうか。

人事担当:HELP YOUのメンバーには、多様なスキルや知識を持っている方が多くいます。
コミュニティ活動を通じて、それらを新たに発見・研鑚することで「個」の力を発揮し、ビジネス化できる仕組みを作りたいという意図がありました。
メンバーそれぞれが好きなことや得意なことを生かして働けるという形を作りたいと考えています。

また、業務で直接関わりがないメンバー同士にも横のつながりができる、管理者がメンバーのパーソナリティを把握しやすくなるといったメリットもあります。

パーソナル制度についても同様に、スキルを活かして時給を超えた働き方を実現してほしいという想いから、こういった制度を設けました。

過去の評価制度と課題について

―現在の制度に至るまでには、どのような変遷があったのでしょうか?

人事担当:これまでは次のような制度を設けていました。

■360度評価
360度評価は、HELP YOUが掲げる価値やミッションを達成できているかを管理者が評価する仕組みです。
成果のみでの評価はHELP YOUのミッションにそぐわないこと、またスキルが追い付いていない発展途上のメンバーのモチベーションを下げてしまうのではないかという懸念から、こういった評価制度を設けていました。

ただ、この制度では一緒に働いたことがないメンバーも評価しないといけないこと・稼働時間が少ないメンバーは査定を受けられず、ずっと報酬が上がらないことが大きな課題でした。

■実務テスト
これを受け、次に実務テストによる評価制度を設けました。メンバーに資料作成やリサーチなどの課題を行ってもらい、その結果で評価を行うというものです。

しかし、テストの結果のみを評価の対象にすると、今度は普段の仕事ぶりに対する評価を反映しきれない・稼働時間が多いメンバーほどテストを受ける時間を捻出できないという問題がありました。

―こうした評価制度を考える中で、一番難しかった点は何ですか?

人事担当:HELP YOUのメンバーは皆それぞれにユニークな背景を持っています。日本だけでなく海外在住のメンバーも多く、働く場所も時間もバラバラです。
業務内容も多岐にわたり、本当に多様な人・働き方が存在しています。

これらはHELP YOUの強みでもありますが、多様な働き方に対して画一的な評価制度を作るということ自体が非常に難しい課題でした。

テレワーク下のマネジメントで気を付けたいポイント

―テレワーク下でマネジメントを行う中で、気を付けていることはありますか?

人事担当:「見えていることだけが全てじゃない」を前提にすることです。
例えば、画面上では元気そうに見えても、それだけで「大丈夫そう」と判断しないようにしています。

マネジメントにおける「魔法」のようなものはなく、オフだから・オンだからといってやり方が大きく変わることはありません。
ただ、オンラインでは見えない部分が多いからこそ、管理者側が継続的にメンバーを気にかけ、自分から情報をキャッチしにいくことが大事だと感じます。

***

このほか、テレワーク下での効果的なマネジメント方法や意識の持ち方について、さらに詳しく話を聞きました。
インタビューの全貌は2020年11月に公開予定です。お楽しみに!

テレワーク時代の人事におすすめのセミナー実施会社


 
テレワークを導入する中で、「人事評価などの制度について、今一度ゆっくり考える機会がほしい」という方もいるのではないでしょうか。
このような方々におすすめのセミナーを開催している会社をいくつかご紹介します。

HELP YOU(株式会社Knit)

オンラインアシスタントサービス「HELP YOU」を運営する株式会社Knitでは、テレワークを組織に導入するためのさまざまなサポートを行っています。

メインであるオンラインアシスタントサービス「HELP YOU」では人的リソースを、コスト削減を推進する「財務マッスル」サービスでは設備リソースを提供。

さらに、業務改善コンサル・導入コンサル・業務別コンサル(人事、経理、営業、マーケ、カスタマーサクセス、etc.)などの体制構築も可能です。

テレワーク導入・促進~明日からできる!『テレワーク』実現への第一歩~


 
そんな株式会社Knitでは、テレワーク導入・促進のためのセミナーを行っています。
「テレワークを使いこなせない…」「もっと有効活用したい!」と感じている方におすすめです。

フルリモートでのサービス運用実績を活かし、テレワーク推進課題に応じた研修を設計。
専門講師による出張もしくはオンライン研修によって解決に貢献します。

【開催場所】貴社オフィス/オンライン

【所要時間】1時間半〜2時間

【テレワーク導入・促進研修の主な内容】
●制度設計
人事制度、セキュリティ、労務環境等の整えるべきこと

●業務仕分け
業務のオンライン化、ノンコア業務の洗い出し

●組織活性
オンラインマネジメント、コミュニケーション設定

●ノウハウ
ニットのリモートワーク術

セミナーの詳細はこちら:https://help-you.me/seminar_list/?seminar=2

サイボウズ

チーム・コラボレーションを支援するツールを開発・提供するサイボウズ。
グローバルに拠点をもつ企業や公共団体などの大規模チームから、企業間プロジェクト、ボランティア、家族などの小規模チームまで幅広く対応しています。

近年はソフトウェアのライセンス販売に加え、サーバーやセキュリティなどの運用環境も提供するクラウドサービスを実施しています。

サイボウズテレワークセミナーオンライン

 

 
サイボウズは2020年2月末からほとんどの国内拠点で原則在宅勤務を実施しており、ほぼすべての業務をテレワークで実施しています。

実際にどのように業務を回しているのかをオンデマンドセミナーを通して学ぶことができ、1回の申し込みですべての回を見ることが可能です。
「営業業務編」「総務労務編」「採用研修編」など、部署や業務ごとにさまざまなセミナーがあるため、自分に合った内容が見つけられるでしょう。

セミナーの詳細はこちら:https://event.cybozuconf.com/-/telework

アデコ

人材派遣やアウトソーシング等のサービスを展開しているアデコ。
キャリアサポートや福利厚生なども扱っており、働くすべての人に仕事の未来を創造するサポートを行っています。

オンラインセミナー

 

 
企業の人事・労務・派遣管理の担当者を対象としたオンラインセミナーを実施し、以下のようなテーマが配信されています。

●テレワーク
●ジョブ型雇用
●労務管理・マネジメント
●派遣法
●同一労働同一賃金
●助成金

セミナーの詳細はこちら:https://www.adecco.co.jp/client/seminar

※セミナー情報は全て2020年10月現在の情報です。

まとめ


 
テレワーク導入の大きな課題である「人事制度」について、評価制度を見直すための具体的な方法をご紹介しました。

成果を重視した評価を行うために、まずは業務の現状を整理し、「業務の見える化」を進めていきましょう。
その際、積極的にツールやシステムを導入(=オンライン化)することで、これまで曖昧だった仕事の成果が数値化・データ化され、成果型の評価がしやすくなるはずです。

また、テレワーク下での評価体制やマネジメントについて、株式会社ニットの事例を基にご紹介しました。
「見えていることだけが全てではない」という意識を常に持ち、チャットなどのツールを使ってオフラインで働く以上に積極的・継続的なコミュニケーションを行うことが大切です。

テレワーク下で人事評価を行うためには、さまざまな工夫をしなければなりません。
分からないことがあれば、ご紹介したようなセミナーを受講してみるのも一つの手段です。

ウィズコロナの社会の中で、よりよい労働環境を作っていきましょう。

テレワーク導入・促進研修のご案内

明日からできる!「テレワーク」実現への第一歩


「テレワーク」という言葉が身近になった昨今。
しかし、以下のようなお悩みを抱えている方もまだまだ多いのではないでしょうか?

・テレワーク導入の目的が掴めない
・テレワークを実現する方法がわからない
・ツールの使い分けができない
・コミュニケーションがうまくいかない
・オンラインマネジメントが理解できない


「HELP YOU」を運営する株式会社ニットでは、こうしたお悩みを抱える方に向けたテレワーク導入・促進研修を実施。これまでに培ったテレワークの運用ノウハウをお伝えします。

テレワーク促進にまつわる課題と改善点を明確にし、新しい働き方を導入してみませんか?

※当研修は、厚生労働省が取り組む「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」の助成対象です。