40か国以上を訪問。 中近東、アフリカ、中国、ドイツで製造業に従事してきた経験者に聞く 海外展開の準備

■インタビュイー
山本公明:1962年、兵庫県生まれ。
通算約10年の海外駐在を含め、30年以上、数社で海外事業に従事。訪問国数は40ヶ国以上。
取扱い経験のある商材は事務機、精密機械で、開発製造型 からOEM、ODMまで様々な業態の製造業を経験

―山本さんのこれまでのご経験や担当領域について教えてください。

通算約10年の海外駐在を含め、30年以上海外事業に携わってきました。今まで出張した国は40カ国ほどになります

取り扱い経験のある商材は事務機や精密機器です。いわゆる開発製造型のメーカー、OEM、ODM(共に受託製造)など、様々な製造業に関わりました。
最初の勤務先では中近東、アフリカ、中国市場を担当しました。就職してから10数年後、勤務先のドイツ現地法人に転勤になり4年半ほど駐在しました。ドイツ駐在が終わった後に日本へ戻り、その後また中近東を担当するようになりました。

2009年に最初の転職をし、プリンターを取り扱う会社に入社しました。そこで再度ドイツに駐在することになりました。

次に、中国で受託製造業を行っている会社に転職しました。受託製造とは、分かりやすい例でいうと台湾の「鴻海」のように、Appleが設計したiPhoneの製造を受託して行うといった業務形態です。私が転職した会社は日本の大手メーカーが設計した製品や部品を中国で受託製造する会社でした。その会社では、中国の深圳市に4年間駐在しました。

中国から帰国後、学生時代からの夢でもあった留学に挑戦しました。会社を辞めて、イギリスのイーストアングリア大学へ留学しました。この大学はノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの卒業校として知られています。英語に苦労しながらも無事卒業し、MBAを取得しました。

日本へ帰国後、海外展開を新しく始める会社の「海外展開準備室室長」として再就職しました。その会社ではアジア、特にミャンマーを中心に営業を行いました。

このように海外事業の立ち上げに関しては、一から立ち上げる場合、あるいは海外に事務所を持っている場合など、様々な段階から参加してきた経験があります。

―今から海外展開をする人が、すべきことは何ですか?

中小企業の場合を想定してご説明します。海外進出を始める際、大体こういう流れになるかと思います。
1、まずは海外進出の目的をはっきりさせることです。漠然と海外に出ていきたいという理由ではなく、そもそもなぜ海外進出をしようとしているのかという根幹の部分を見直すことが大切です。海外進出というのは相当な額の投資ですので、「国内投資ではだめなのか?」「進出しない場合の選択肢はないのか?」等についても再検討する必要があります。

2、海外進出をすると決めたのならば、次は進出計画案の作成をします。「事業として成り立つための売上はどれくらいになるのか?」、「どれくらいで投資を回収できるのか?」
、などの支出計画を作成します。また、「自社だけで実行するのか?」、「合弁で実行するのか?」ということも検討します。これは海外に限らず国内で進出していないエリアに進出する際も同じだと思います。

3、その後、実現可能性の調査に移ります。この段階では日本と海外で異なる側面も色々とでてきます。法規制上の問題はないかということを確認する必要があります。
更に従業員を雇うのであれば人件費やサプライチェーンにかかる費用の算出、そしてそもそも採算が見込めるような市場はあるのかについても再確認が必要です。

4、最終的な意思決定を行います。海外進出によって人材や資金が海外に流れた後に、国内側のフォロー体制はあるのかどうか、もしも社内に海外進出反対の社員がいた場合はどう対応していくかなどについて考えます。

5、社内の合意が取れ、海外進出が決定したら、遂に計画実行に移っていきます。会社の規模にもよりますが、海外進出担当部署を立ち上げ、担当社員を割り振って実行するのが良いと思います。

―実際に海外進出している企業の成功と失敗の分かれ道はあるものですか?

(▼資料)

海外進出の成功と失敗の分かれ道について見ていきます。調査結果のように「販売先の確保」「現地人材の確保・育成・管理」「海外展開を主導するための人材の確保、育成」の三つが特に重要な鍵となってくるようです。

(▼資料)

また海外進出をしたものの残念ながら失敗に終わってしまった場合、何が原因だったかについて見ていきます。中小企業庁の資料と、経済産業省の資料を使用します。
中小企業庁の資料では失敗要因の一位は「環境の変化等による販売不振」となっていて、経済産業省の資料では「製品需要の不振」となっています。要はどちらも”売れなかった”ということに尽きると思います。

新しい市場を求めて海外進出をしたのですから、そもそもの目的が達成できなければそのような結果になってしまうのは当然です。

続いて、「海外展開を主導する人間の力量不足」が二位になっています。プロジェクトを主導する人間が外国語が出来なかったということもあり得ますし、極端な例で言えば適性を考慮せずに人員配置したということもあるかもしれません。

また、三位には「現地の法制度・商習慣の問題」が挙げられています。これは実際にやってみないと解らなかったケースもあるかもしれませんが、例えば守らなければいけない海外の安全や品質の基準を満たしていなかったというようなことが起こり得ます。

そして四位の「人件費の高騰による採算の悪化」は国外に関わらず国内でも同じ問題に直面することがあると思います。
ここまでの要因を見てきて、海外進出は国内で新規事業を始める場合とさほど大きな違いはないと思われるのではないでしょうか。

このような過去の情報を知ることで、海外進出は決して夢物語ではなく、より現実味を帯びて冷静に考えられるのではないかなと思います。

ー海外進出に際して、注意すべき点はありますか?

まず、新たな市場を開拓するために現地に販売拠点を作りたいというケースについてです。私はいきなり現地に事務所や販売拠点をを作るのではなく、まず販売提携や海外企業の販売代理店として事業を始め、様子を見てから次のステップに進むのも良いのではないかなと思っています。

また、既存事業が行き詰まっていて、海外で新たな事業を立ち上げたいというご要望を受けることもあります。しかし、その新しい事業を海外で始めることにどんなメリットがあるのかという部分が、海外進出ありきで考えていると、見えなくなっている場合があります。

次に、大口取引先あるいは親会社などの要請で海外に進出せざるを得なくなったというケースについてです。この場合は、その取引先や親会社から「何かしらのサポートはあるのか?」という点について確認することが大切です。例えばメーカーであれば、製造した商品が売れなかった場合でも買い取ってもらえる保障があるか、というようなことです。販売先が確保できるかどうかが一番重要なので、海外進出を要請された会社との契約等を注視する必要があると思います。

それから、コスト削減のために海外進出するケースについてです。かつて中国が「世界の工場」と言われたように様々な商品が低い人件費で生産されてきました。しかし年々人件費は少しずつ上がり、近年では中国の人件費はそこまで魅力的ではないようです。今では中国で人を一人雇う費用で、タイでは二人、ベトナムでは四人雇用できるとも言われています。人件費が低いのは良いのですが、安易にコスト削減を優先しすぎて現地社員のスキルが伴わず商品が「安かろう悪かろう」という状態になり兼ねないので注意が必要です。

そして、海外で安い部品を調達するための調達拠点を作りたいというケースもあります。その場合は急な納期や納品数の変更に対応できるかという点についても確認が必要です。

色々とチェックするべき点を話してきましたが、結局最後は思い切った決断が必要になります。海外進出に乗り出した上でよく起こる問題として、取引先や販売店の一年目の業績は好調だったが二年目から業績不振になるケースがあります。この場合に大事なのは、取引契約書の有効期間を明記しておいて、手を引くべきタイミングで取引中止できるようにしておくことです。

―海外と日本のビジネス上の差異は何ですか?

進出する国にもよりますが、アメリカやヨーロッパは契約書の内容をかなり慎重に詰める傾向にあります。反対にアジアや中近東は厳しい内容の契約書を提示しても、割とあっさりと受け入れてくれる傾向があります。なぜかと言うと、少々誇張して言うと、契約を遵守する意思が薄いように見えます。また後の交渉で何とかなるという考えの強さの違いとも言えると思います。例えばある商品の値段を決定したとしても、次の日「何とかならないですか?」という交渉が入るといった具合で、苦労した事がありました。

また、日本と海外では時間の感覚が違うと思います。アジアの方は割とゆったりと時間が流れているように感じます。日本人はいろんな意味で時間に厳しいので、イライラすることもあります。プロジェクトを進める際、日本人は工程表に従って一歩一歩詰めていくのが普通だと思いますが、国によっては工程表はあまり守らず柔軟に進めていこうという考え方をする国もあります。そのあたりの考えの違いについても理解が必要だと思います。

雇用形態についても差異があると思います。海外の場合、雇用時にジョブディスクリプションを定めます。、ジョブディスクリプションで定めていない仕事を頼んだら、自分の仕事ではないと断ってくるといったことがあります。日本的な感覚で、採用したので、指示すれば何でもやってくれるだろうと思っているとギャップを感じると思います。

―山本様がこれから海外進出をするとしたら、どの国で何をやりたいですか?

一つは、AIのディープラーニングを請け負う労働集約型の会社です。新聞や雑誌でよく読みますが、最近のスタートアップは必ずAIを使用しています。人件費が安くスキルのある中国や、「隠れたAI大国」とも言われるアフリカも良いかもしれません。
もう一つは、日本のおもてなし文化を輸出し、マニュアルにして販売したり、研修コースとしてイベントを開催したりといったソフト面のビジネスです。東京オリンピック・パラリンピックで「味の素」が新しい餃子を提供したことがSNSで紹介されて高い評価を得ましたが、あのような日本人の”相手を心地よくさせる”サービス精神の高さは世界にも誇れるものだと思います。将来の国際イベントに向けて日本のホスピタリティを広げるビジネスも面白いのではないかなと思います。

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