日本の長時間労働の実態と改善策とは?月80時間以上の残業は過労死ライン!

世界的に知られている日本語の一つとして「過労死」があります。
「karoushi」と言えば、多くの国でそのまま通じるほど、働き過ぎというイメージは日本と結びつけられているのです。
事実、平成25年度の脳・心臓疾患による労災請求件数、つまり働き過ぎで重大な病気になったという訴えは784件出されています。15年前と比べると実に1.5倍もの数字です。
この原因となっているのは、長時間労働です。日本の長時間労働の現実とはどんなものか、どうしたらこの状況を変えられるのかを考えることは、非常に重要です。
生活の質に直接関わるものですので、誰しもが真剣に検討すべきと言えるのです。
目次
長時間労働の定義
仕事と生活の質の向上のために、適性な時間の労働をする環境を整えるのはとても大事です。
しかし、その前に、まず長時間労働とは、どこからが長時間となるのかを共通の認識として持つ必要があります。
そうすることで、その問題点を知り、解決策を探れるようになります。
週60時間以上の労働
何を持って長時間労働と定義するかについては、明確な決まりがあるわけではありません。
しかし、労働時間ごとに区別して労働者を割合を出している総務省の「労働力調査」という統計では、週60時間以上働いている労働者を一番労働時間が多いグループとしています。
そのため、一般的な定義として、週に60時間以上働いているケースで長時間労働だと見ることができるでしょう。
残業時間の上限を超えている場合
もう1つの定義の仕方は、時間外労働、いわゆる残業時間がどのくらいあるかということによって見ます。
残業時間の上限を規定した36協定では、基本的に月45時間が上限とされています。
この残業時間を超えている場合も、やはり長時間労働と定義することもできます。
ルールで定められている以上の労働時間となっているからです。
健康に大きなダメージを与える月80時間以上残業
もう1つの定義としては、月80時間以上の残業を行っているというものがあります。
これは、厚生労働省では過労死ラインと言われる指針です。
月80時間以上残業をしている場合、過労死をするリスクが高くなり、何らかの病気を患うと業務災害として認定されるケースが多くなります。
一般的な定義やルール逸脱というものとは異なる、健康被害という面で長時間労働もしくは過重労働を定義する方法です。
長時間労働の実態
こうした長時間労働は、企業にとって業務の非効率という問題を与えると共に、労働者に心身の深刻なダメージをもたらすことになります。
しかし、実態を見ると長時間労働がなくなっているわけではありません。
全体では減少傾向にある
政府主導で様々な働き方改革がなされているということもあって、長時間労働をする労働者の割合は減っています。
平成16年の総務省の統計では、週60時間以上働く人の割合は12、2%でした。
それが、平成22年には9.4%となっています。平成25年には8.8%に減少しています。
改善が見られるのは良いことです。
しかし、全体の中で今なお1割近い労働者が長時間労働をしているというのは、まだまだ改善の余地があります。
30代男性が最も多い長時間労働
もう少し詳しく総務省の調査を見ていくと、長時間労働をしている人の年代に特徴があることが分かります。
世代全体では8.8%なのに、30代男性に限ってみるとその割合は、17.6%にまで上ります。
働き盛りの男性に業務が集中していることが分かります。
この数値はここ数年でもさほど下がっておらず、改善傾向が少ないというのも問題と言えます。
日本における長時間労働の特徴
日本は海外の労働事情と比べると、労働時間が長い傾向にあります。先進国の中では特に長く、労働生産性が低いのが問題となっています。
フルタイム労働者の労働時間が長い
OECD加盟国で年間労働時間の平均を出した統計を見てみると、日本は22位となっています。
先進国の中では日本の労働時間は長いですが、世界的にはそれほど長いようには見えません。
しかし、この統計は、パートタイマーを含む短時間労働者もすべて合算しているというのがポイントです。
日本の短時間労働者の割合は世界的に見ても多く、OECD内ではトップ5となっています。
そして、フルタイム労働者は短時間労働者の労働者の2倍程度の時間働いているのです。
統計では、フルタイム労働者の年間平均労働時間は、2018時間となっています。
この時間だけを見ると、先ほどのOECDの労働時間のトップ5に入ります。
こうしてみると、全体の労働時間が減っているのは、1人1人の労働時間が短くなっているのではなく、パートタイマーの割合が増えているだけという現実が見えてきます。
1日当たりの労働時間が長い
もう1つの統計、休日も母数に入れた1日当たりの労働時間の平均では、日本の特徴がよく分かります。
このOECDのデータでは、日本人男性は1日当たり375分で第1位となっています。
これは平均値と比べると116分も長い数値で、日本人が平均して2時間近く長く働いているということになります。
長時間労働の原因
統計にも表れているよに、日本は長時間労働が常態化していて、なかなか改善が見られないの現状です。
まずは原因を突き止めて、有効な手を探ることが重要でしょう。
そもそもの長時間労働の見方が異なる
細かな原因はいくつもあるとして、第一に考えるべきなのは長時間労働という意識そのものです。
上記のように、日本では週に60時間以上働くことを長時間労働と見るのが一般的です。
しかし、海外の多くの国では、週45時間以上の労働を長時間労働と考える向きがあります。
そもそも働き過ぎという基準が違うのが問題の根本原因と言えるでしょう。
残業時間が多い
日本の長時間労働の具体的な大きな原因と言えるのは、時間外労働つまり残業が多いということにあります。
法律によって、はっきりと残業時間の上限が決められているにも関わらず、残業時間の減少は少ない領域に留まっています。
この要因となっているのは、特別条項付きの契約を労働者と結べば、残業時間の上限を延長できるというシステムです。
この特約を使って、企業が合法的に長時間残業をさせているケースがあります。
また、いわゆる管理職になると、労働基準法の残業に関する制約が適用されなくなるという点も問題となります。
企業にとっては、管理職なら残業手当を払わなくてもいいので、名ばかり管理職を作って、長く働かせるというケースも見られます。
人手不足と非効率な業務
労働時間が長くなる、残業時間が長くなるのは、基本的に業務の効率が悪い、単純に人手が足りないという原因があります。
しっかりとした監督、教育がなされていないために、業務のスピードが遅く、ダラダラと仕事をしていることが多いのです。
また、建設業などを中心に、働き手が少なくなってきて、現在働いている人に作業が集中してしまうというのも現実としてあります。
業務時間は長くなりますし、かかる負担も大きくなるので、心身共に強いストレスにさらされることになります。
長時間労働を削減するメリット
長時間労働を削減するためには、まずそのメリットを知り、モチベーションを得ることが重要です。
業務の効率化によって収益性アップ
長時間労働をしていると、業務効率は下がる傾向にあります。
人間の体力は集中力には限界がありますので、当然のこととして連続して長く働けば、それだけ効率は悪くなります。
一方で、決められた業務を短時間で終わらせることができれば、効率が向上することになります。
企業としても、人件費やオフィス・工場の光熱費などを抑えられますので収益アップにつながります。
社員の生活の質の向上
最も重要な点として、社員の生活の質が向上するという点が挙げられます。
長時間労働をしていると、精神的にも身体的にも大きなストレスがかかります。
また、睡眠時間が少なくなる、余暇の時間が減るなどの問題も起こります。
さらに、家族との時間も減ってしまうことになります。
労働時間を削減することによって、社員の健康に寄与できますし、毎日の生活を楽しんで送れるようにもなります。
企業は自社の社員の生活を保護する責任がありますので、真剣に考えるべきことでしょう。
企業イメージの向上
社員を過酷に扱ういわゆるブラック企業は、世間から悪い評価を受けることになります。
一方で、社員の福利厚生をきちんと考え、確実な施策を採っている企業は良いイメージを持たれます。
その結果として、優秀な求職者が集まりやすくなりますし、取引先からの信頼を受けられるというメリットがあるのです。
長時間労働を削減する方法
こうした問題点を分析すると、長時間労働を削減する具体的な方法が見えてきます。
それぞれの企業の特徴に合わせて、有効な方法を採ることが重要です。
アウトソーシングを利用する
長時間労働の原因には、非効率な業務があります。
そこで、どの業務に無駄が多いのかを分析して、その業務をアウトソーシングとして外部に委託するのが有効です。
その業務に係る人員を省くことができますし、その道のプロに依頼することになりますので、より正確な業務ができるメリットもあります。
管理職への徹底した教育
日本で長時間労働が常態化している根本原因は、企業内でのはびこる意識とも言えます。
長く働いてこそ良い社員だという考えが、今もなお残っているのです。
そのため、企業は管理職に徹底した教育を行い、この意識を変えることを求める必要があります。
効率よく仕事をして、無駄に会社に残ることがないように部下に適切な仕事振りをすること、残業をできるだけしないように促すことを教えていくことが大切です。
数値目標など見える形を採る
長時間労働というのは、日本の現場では習慣となってきました。
その長く深い習慣を変えるのは簡単ではありません。
そのためにも、思い切った仕方で取り組むことが求められます。
経営陣が率先して、労働時間を減らすように発言すること、会社として数値目標を立てることなどができます。
社員全員がはっきりと理解し、それが社内で徹底されることで、変化の風が起こっていくのです。
まとめ
長時間労働とは、一般的に週60時間以上働くことを意味します。
日本は長時間労働が習慣となっていて、海外と比べても労働時間がとても長い傾向にあります。
パートタイマーが増えている中、フルタイム労働者の労働時間が特に長い、1日当たりの労働時間が長いなどの特徴を持つのが日本の現状です。
そして、そこには残業時間が長いという原因があります。
業務の効率化を図ること、アウトソーシングをするなどの対策を練ることで、こうした問題の解消につながっていきます。
また、そもそもの労働時間に関する意識を変えることや、会社が一丸となって目標達成に向かって努力するなどが求められます。
このようにして長時間労働を減らすことで、企業にとっては収益性アップというメリットが生まれます。
また、なによりも労働者の生活の質が向上し、より幸せな毎日を送る助けとなります。
人間らしい幸福な生活を過ごすためにも、こうした点を真剣に考慮したいものです。
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